Femtoscopic study of two- and three-body hadron interactions
Publicly Offered Research
Project Area | Clustering as a window on the hierarchical structure of quantum systems |
Project/Area Number |
21H00121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 明 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70250412)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | ハドロン間相互作用 / 運動量相関関数 / 高エネルギー原子核衝突 / 3粒子相関関数 / 3体力 / 格子QCD / 3体相関関数 / 運動量相関 / 3粒子相関関数 / 3体力 |
Outline of Research at the Start |
ハドロン間相互作用はハドロン多体系を理解する基礎であるが、多くのハドロンは寿命が短いため散乱実験が行えず、データに基づく系統的研究が困難であった。これまでに我々は原子核反応からの2体運動量相関関数を用いて相互作用の情報が得られることを示し、データに基づいて議論できるハドロン間相互作用の種類が大きく広がった。本研究はこの流れを引き継ぎ、実験で測定されるΛΞ、pΣ、pD、Λppなどの2体・3体相関関数を分析し、格子QCD核力などの相互作用理論と比較することによりハドロン間相互作用の理解を進めるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
ハドロン間の相互作用はハドロン多体系を記述する基本的物理入力であるが、ほとんどのハドロンは不安定であり散乱実験から相互作用を調べることは困難である。一方、高エネルギー原子核反応からの運動量相関関数は源関数と波動関数の自乗の畳み込みで与えられ、源関数のサイズが既知であれば波動関数や相互作用の情報を引き出せる。 本研究は原子核反応からのハドロン運動量相関関数を用いて、様々なハドロン間力を明らかにすることを目的とする。また3体相関関数と3体力を結びつける理論の枠組みの開発を行う。2021年度には格子QCD計算により求められたストレンジネスS=-2のバリオン間相互作用からpΞ-、およびΛΛ相関関数を求め、2020年に測定されたデータとの比較を行った。源関数のサイズを調整することにより相関関数の計算値は実験データを見事に説明し、また得られた源サイズは様々な相関関数データからの系統性から評価されたサイズと無矛盾であった。この一致は格子QCDから得られたS=-2バリオン間力が実験データにより検証されたことを意味する。この成果は原著論文として出版され、国際会議にて数度報告されている。 また3つのハドロンが関わる相関関数として、d(重陽子)Ξ-の相関関数を評価した。クーロン力を含む連続状態の3体波動関数を直接求めることは簡単では無いが、重陽子の内部波動関数を連続状態まで含めて離散化して取り扱うContinuum Discretized Coupled Channel (CDCC)法を用いれば、中間状態で分離する効果を取り入れ、比較的小さな計算コストでdΞ-相関関数が得られる。実験データはまだ無いが十分に測定可能であり、pΞ-相関関数と組み合わせることによりポテンシャルの異なるスピン・アイソスピン成分の理解を含められるであろう。この成果は原著論文として出版され、共著者により学会にて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画通り、2021年度には格子QCD核力を用いたS=-2相関関数についての研究を進め、論文を出版した。ここでの計算結果は実験グループ(ALICE)のNature論文でも示されているなど、実験家からの信頼度は増している。S=-1格子QCD核力は最終結果がまだ出版されておらず相関関数は調べられなかったが、dΞ- 相関関数については共著者が集中的に研究を進めてくださり、2021年度に原著論文が出版された。おおむね計画通りであり、順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は測定が始まっているチャームクォークを含むハドロン間相互作用の研究を行う。また3体力と3体相関の関連をボルン近似などの簡単な模型で調べる。 チャームクォークを含むハドロンが作る分子(ハドロン分子)状態は、4つ以上のクォーク・反クォークを含むエキゾチックハドロンの有力な構造の一つである。最近ALICEによりpD-相関関数が観測され、また数年以内には代表的なエキゾチックハドロンであるX(3872)やTccなどの構造と深く関わるDDbar*やDD*の相関関数も測定される予定である。格子QCDやカイラル模型などから得られるチャームハドロン相互作用を用いて実験データとの比較、または予言を行い、相互作用の成否を問うとともにエキゾチックハドロンの構造に関する議論を行う予定である。 また3体相関については既にppΛ、ppK-などが観測されており、理論的解明を待っている。しかしながら理論的には(一般にはクーロン力を含む)連続状態の3体波動関数を任意のエネルギーで求める必要があり、簡単ではない。このためまずは相互作用が弱い場合に適用可能となるボルン近似を用いた定式化を行う。予備的な研究では3体力自体が作る3体相関は大きくなく、2体力を含む相互作用について2次以上の効果を考える必要があることがわかりつつある。分離型(separable)ポテンシャルやCDCCを用いた分析なども検討してみる予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(16 results)