Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
核内の弱束縛クラスターを陽子によってノックアウトする反応の正確な記述を行う。具体的にはa. 弱束縛クラスターが核外に叩き出された後、残留核との相互作用(終状態相互作用)によって分解する可能性b. 弱束縛クラスターが、入射陽子によって叩かれた瞬間にバラバラに壊れる可能性c. 一旦バラバラになった粒子が、終状態相互作用によって弱束縛クラスターを再形成する可能性を考慮する。そのため、ノックアウト反応を記述する標準的手法である歪曲波インパルス近似(DWIA)と、弱束縛粒子の散乱を厳密計算と同等の精度で記述する連続状態離散化チャネル結合法(CDCC)を組み合わせた新たな枠組み(CDCCIA)を構築する。
原子核中に存在が期待される重陽子やダイニュートロンを観測する手段としてこれらの“粒子(クラスター)”を叩き出す反応が提案されている。本研究では、近い将来に測定が予定されているクラスターノックアウト反応断面積と、核内におけるクラスターの存在確率を正しく結びつけるため、重陽子やダイニュートロンの弱束縛性・非束縛性を取り入れた新しい反応模型CDCCIA(離散化チャネルインパルス近似)を構築した。本年度は、前年度に構築したこの模型を用いて重陽子ノックアウト反応の詳細な分析を進め、その結果を学術誌Physical Review Cに発表した。また、CDCCIAをダイニュートロンノックアウト反応にも適用し、その結果をいくつかの研究会で報告した。この成果は学術論文として投稿の準備中である。本研究の主要な成果は以下の3点である。1. 脆い/束縛しないクラスターのノックアウト反応を正確に記述する新しい反応模型CDCCIAを構築したこと。2. 重陽子ノックアウト反応において、重陽子の破砕や再形成は、断面積に数十パーセントの影響をもたらし得ることを明らかにしたこと。3. ダイニュートロンノックアウト反応で得られる2中性子エネルギー分布から、核内ダイニュートロンの形成度を抽出する道筋を付けたこと。これらの成果は、来たるべき系統的クラスターノックアウト反応実験の分析になくてはならないものであり、本研究により、観測量と原子核内のクラスター構造を結びつける手段が整ったといえる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021
All Journal Article (6 results) (of which Int'l Joint Research: 4 results, Peer Reviewed: 6 results, Open Access: 2 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 3 results)
Physical Review Letters
Volume: -
Physical Review C
Volume: 106 Issue: 6 Pages: 1-10
10.1103/physrevc.106.064613
Volume: 106 Issue: 6 Pages: 0643211-10
10.1103/physrevc.106.064321
Volume: 129 Issue: 26 Pages: 2625011-7
10.1103/physrevlett.129.262501
Volume: 105 Issue: 1 Pages: 014915-014915
10.1103/physrevc.105.014915
Phys. Rev. C
Volume: 103 Issue: 6 Pages: 1-12
10.1103/physrevc.103.065205