Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
大きなストレスを体験し一時的に鬱的状況に陥っても、ヒトは時間と共に適応回復し、健康的状態に戻ることができる。本研究はストレスからの適応・回復能力であるレジリエンスを司る脳内ネットワークを、ヒトfMRI(機能的磁気共鳴画像法)とEEG(脳波)の同時計測を用いた網羅的探索によって明らかにする。実験では参加者に軽微なストレスを負荷後、fMRIとEEG、複数の生理指標(心拍・呼吸・瞳孔・コルチゾール・α アミラーゼ)を約90分間計測し、レジリエンスの個人差に対応した神経生理学的特徴を発見する。さらに機械学習を用いたfMRIとEEGの情報統合により、ヒト非侵襲的に高時空間分解能の神経動態解析を実現する。
大きなストレスを体験し、たとえ一時的に鬱的状況に陥っても、多くの人間は時間と共に、与えられたストレス環境に適応して、心身を回復させ、健康的状態に戻ることができる。そような適応過程は脳と身体にどのように表現されているのか。本研究はストレスからの適応・回復能力である「レジリエンス」に着目し、レジリエンスを司る脳内ネットワークを、ヒトfMRI(機能的磁気共鳴画像法)とEEG(脳波)、さらに複数の生理指標を組み合わせた同時計測を用いた網羅的探索によって明らかにするものである。2022年度は、前年度取得した約100名分のデータを利用し、詳細な解析を行った。解析の結果、fMRI の結果については①島葉を中心とするネットワークがストレス経験後、レジリエンスの低い個人で特に上昇すること、②背側帯状皮質を中心とするネットワークはストレス経験後、レジリエンスの高い個人で上昇することを発見した。一方で、EEGについては、ストレス経験後に後頭葉と前頭葉において、③26.5Hz帯域 (Beta2)と④43.0Hz (Gamma) 帯域との強度が、レジリエンスの低い個人で上昇していることを発見した。さらには、生理指標についても、⑤心拍数はレジリエンスの高い個人で低い傾向があることも発見した。これらの5種類のレジリエンスの個人差に関わる脳と身体生理反応の特徴は未だ報告されていない、新規の現象である。さらに、これらの大規模データを駆使して、個人のレジリエンスの高低を脳活動から予測できる機械学習アルゴリズムを作成中である。以上の成果については国内学会と、複数の会議、また2つの招待講演にて発表することができ、先生方から様々なご意見をいただくことができた。現在これらの結果について英語論文を執筆しており、2023年度中に投稿を完了する。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021
All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Open Access: 2 results, Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Book (2 results)
bioRxiv
Volume: - Pages: 487262-487262
10.1101/2022.04.06.487262
Neuroscience Research
Volume: 175 Pages: 53-61
10.1016/j.neures.2021.11.004