Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
統合失調症において「自己の輪郭の喪失」が生じることが知られているが、その神経回路病態は解明されていない。統合失調症が発症する思春期~青年期は、自己が確立される時期と重なっており、前頭連合野の構造的・機能的異常が見られることが報告されている。本研究では、思春期の健常者および統合失調症患者を対象に、自己に関連する神経ダイナミクスが思春期にどのように形成され統合失調症の発症に至るのか、前頭連合野、海馬、中脳ドーパミン作動核に着目してマルチモーダルイメージングにより明らかにする。さらに、マーモセットを用いて自己に関連する神経回路動作を詳細に明らかにし、細胞・分子メカニズムの研究に道を拓く。
「身体的自己」に関連する神経回路動作を詳細に解明するため、マーモセット4頭の個体から、前頭葉および側頭葉を含む片側半球のECoG(Electrocorticography:皮質脳波)を記録し、解析を行なった。実験個体が自ら発声している条件と録音した自身の声を聴く条件の間でハイガンマ帯域のECoGを比較したところ、発声前から聴覚野の活動が抑制されていること、その抑制は、聴覚野を含む側頭葉において最も早く始まることが明らかとなった。また、発声の制御に関わる前頭葉活動が聴覚活動抑制にどのように関与するのかについて機能的結合性解析を行なった。本研究結果は、2022年度の日本神経科学大会および北米神経科学大会にて発表した。「拡張された自己」に関連する神経ダイナミクスを調べるため、健常対照者を対象として、(1)探索課題遂行遂行中のMEG(Magnetoencepharography:脳磁図)による脳活動計測(2)MRI(Magnetic Resonance Imaging)計測(T1, T2, dMRI, rsfMRI, neuromelanin-sensitive MRI)を実施した。左右のカードのいずれか一方を選択してよい結果が得られる方を探し出す探索課題遂行中における、健常者(約40名)のMEG信号を解析したところ、コンピューターが選択する条件よりも自らが選択する条件の方が前頭葉内側部の賦活が強いことを見出した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Cerebral Cortex Communications
Volume: 3 Issue: 1 Pages: 1-17
10.1093/texcom/tgac002