Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
生殖細胞は、細胞分裂を繰り返して細胞数を増やすが、ある時期が来ると減数分裂を起こし、やがて精子もしくは卵に分化する。精子の元となる細胞(幹細胞)から精子が作られる際には、数千もの遺伝子発現が変化する。遺伝子発現変化は、ヒストンやDNAの化学修飾や、クロマチン構造変化によってもたらされ、そこでは多くの制御因子が機能している。その中でも本研究では、細胞の分化運命決定を担っている制御因子の同定、及びクロマチン構造の制御機構解明を目的とする。
本研究は、哺乳類精子形成期における分化運命決定機構の解明を目的とした。生殖細胞が分化し減数分裂期へ移行する際には、数千もの遺伝子発現が変化し、体細胞分裂型の遺伝子発現プロファイルから精子形成期特有の遺伝子発現プロファイルへ切り替わる。体細胞系列において、パイオニア転写因子や、クロマチン高次構造の再編成が細胞運命の決定に重要な役割を担っていることが示されつつあるが、生殖細胞分化においてはその分子機構が未解明であった。そこで、本研究ではマウス精子形成期をモデルに、分化進行を制御する転写因子群の同定、およびクロマチン構造制御機構の解明を目指した。まず、シングルセルATAC-seq法を用いて、分化進行に伴うクロマチン開閉状態の変化を解析し、遺伝子発現を制御するクロマチン領域を同定した。その結果、開閉の変化がみられた領域において、精子形成での機能が知られている転写因子結合モチーフの他に、精子形成期における機能が未知の転写因子結合モチーフが複数見出された。それら転写因子の機能を明らかにするために、機能欠失マウスの作製、およびCUT&Tag法を用いて転写因子が結合するゲノム領域の同定を行った。さらに、分化進行に伴うクロマチン構造の制御機構を明らかにするために、代表的な分化段階の生殖細胞を用いて、ChIP-seq法によりクロマチン高次構造制御因子CTCFのクロマチン結合領域を同定した。その結果、減数分裂期の前後でCTCFが結合するゲノム領域が切り替わっていることが示された。体細胞型遺伝子発現の抑制に機能するポリコーム因子SCML2の機能欠損マウスの精母細胞では、CTCF結合領域の変換に異常が生じていたことから、エピジェネティックな制御によってCTCFの結合するゲノム領域が制御されていることが示唆された。これらの成果は、エピゲノム編集等の人為的な操作による生体外配偶子形成への応用に貢献する。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021 Other
All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (6 results) (of which Int'l Joint Research: 6 results, Peer Reviewed: 6 results, Open Access: 2 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 3 results) Remarks (1 results)
Nucleic Acids Research
Volume: in press
Methods Mol. Biol.
Volume: 2577 Pages: 123-146
10.1007/978-1-0716-2724-2_9
Volume: 2577 Pages: 65-81
10.1007/978-1-0716-2724-2_5
Nature Communications
Volume: 13 Issue: 1
10.1038/s41467-022-31759-6
Zoological Science
Volume: 39 Issue: 6 Pages: 529-544
10.2108/zs220035
Cellular and Molecular Life Sciences
Volume: 79 Issue: 1
10.1007/s00018-021-04075-3
https://dept.tus.ac.jp/st/teachers/1617/