Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
マウス視床下部前腹側周室核のQRFP産生神経を特異的に刺激すると、36時間以上にわたる低体温・低代謝状態を誘導することが可能である。本研究では、「低体温・低代謝状態の脳内において体内時計システムがどのように時を刻み、また時間がどのように認知されているか」を明らかにすることを目的とする。中枢時計の存在するSCNにおいて時計遺伝子の発現およびカルシウム・神経活動リズムのin vivoレコーディングを行い、低体温状況における概日時計の振る舞いを分子・神経レベルで記述する。さらに、基本的な陳述記憶を検査する行動テストを行い冬眠様状態においてマウスが時間をどのように認知しているかを明らかにする。
本研究では、冬眠様状態(QIH)を誘導し「低体温・低代謝状態の脳内において体内時計システムがどのように時を刻んでいるのか」を明らかにすることを目的とした。QRFP神経を特異的に操作するために、Qrfp-iCreドライバーマウスにCre依存的にhM3Dq-mCherryを発現するアデノ随伴ウイルス(AAV)をマイクロインジェクションし、QIHを誘導した。研究代表者はマウスの行動リズムの位相が冬眠誘導前と回復後で全く変わらないということ、さらにそれらが冬眠誘導のタイミングによらないことを見出した。さらに、分子時計の挙動を調べるために時計タンパク質PER2にルシフェラー ゼを融合させたタンパク質を発現するノックインマウスとQrfp-iCreマウスを交配し、QIHを誘導した。マルチインビボイメージャーを用いて、自由行動下のマウスから恒暗条件下でルシフェラーゼ発光を計測した。まず、中枢時計であるSCNにおいてPER2::LUCの発現を経時的に観察したところ、24時間周期のリズミックな変動が観察された。さらに、腎臓や肝臓などの末梢時計においてもリズムが確認できた。これらの結果は、24度という低体温に晒されても概日リズムの周期が維持されていること、分子振動が維持されていることを示しており、神経活動が大きく抑制された状況においても概日時計による時が刻まれていると考えられた。さらにSCNにおいて神経活動のリズムも継続することが判明した。これらと並行してより時間分解能が高いQIHの誘導法を開発した(Takahashi, Hirano et al., Cell Reports Methods, 2022; Takahashi et al., STAR Protocol, in press)。 低温状態を自由に作出することが可能となり、より詳細な時間認知へのアプローチが可能となる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021
All Journal Article (7 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 6 results, Open Access: 7 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 6 results)
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 120 Issue: 11 Pages: 1-11
10.1073/pnas.2218209120
Front. Neurosci.
Volume: 17 Pages: 1173537-1173537
10.3389/fnins.2023.1173537
Journal of Neuroscience
Volume: - Issue: 22 Pages: 4075-4092
10.1523/jneurosci.1913-22.2023
STAR Protocol
Volume: -
Nature Communications
Cell Reports Methods
Volume: 2 Issue: 11 Pages: 100336-100336
10.1016/j.crmeth.2022.100336
Frontiers in Neuroscience
Volume: 16 Pages: 91337-91337
10.3389/fnins.2022.913371