Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では連続的に栽培および保管し続けなければならないタロ(サトイモ)の存在を明らかにし、サトイモの渡来経路からヤポネシア人の渡来経路について解き明かしたい。日本の在来系統を多く含むサトイモ 100 系統を選び、GRAS-Di法を用いてゲノムワイドなアンプリコンマーカーを作出し、系統発生解析を行う。また、貝塚や遺跡から出土した土器の付着物に含まれるデンプン粒の形態を解析し、東南アジア、南中国、オセアニアなどの地域のサトイモ系統のデンプン粒の形態と比較することにより、サトイモの渡来時期や分布を調べる。さらに、サトイモに関する行事食や日常食、祭事を調査し、渡来起源種との関係を探る。
サトイモの渡来経路を調べるために、日本で最も古いサトイモを探した。温泉地や湧き水のある場所など、生育条件に恵まれた土地のサトイモは縄文時代後期の寒冷期を乗り越え自生化したと考えられ、日本にはそのような自生イモが弘法大師の石芋伝説として複数存在している。本研究では、これらの自生イモや、主にアジアからオセアニア圏内で採取した野生サトイモ、栽培サトイモを供試し系統比較を行った。葉緑体ゲノムのPS-ID領域の配列結果から3つのグループに分けることができ、サトイモの母系タイプが芋の形態と一致することが示唆された。また、10のSSRマーカーを用いた系統解析では、日本の古い自生イモの多くが起源地と言われるインド由来であることが示唆された。さらに、GRAS-Di解析では、アンプリコンマーカーを用いた系統比較及び、アンプリコン配列データから検出した4,872個のSNPを用いて系統比較を行った。いずれの解析でも、インドで採取した品種不明の野生型のサンプルや栽培型のサンプルが既知の品種群に属さず、1つのクラスターを形成した。他品種群よりも早くに分岐する傾向があることから、インドの野生種及び栽培種が進化的に古い系統にあたると考えられ、インドがサトイモの起源地であると示唆された。本研究で用いた長野県沓掛温泉周辺や山梨県甲府市龍源寺、佐賀県鳥栖市、島根県出雲市芋の谷で採取した自生イモはエグ芋だと推定でき、エグ芋品種群は日本に初期に持ち込まれたと考えられた。似たような系統が台湾や韓国、中国、オセアニアまで広まっていることが分かり、インドで発生したエグ芋品種群が、台湾や韓国を経由してヤポネシア人によって持ち込まれた可能性が考えられた。また、SNPを用いて行ったf4統計量解析結果から、蓮葉芋・土垂はエグ芋と赤芽の両方の遺伝的性質を持つことが分かった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021
All Journal Article (1 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 3 results)
アグリバイオ (北隆館)
Volume: 6(9) Pages: 48-52