Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究では、日本各地のソバ在来種を中心に、世界各地のソバ在来種約100個体の全ゲノム配列決定を行う。さらに、配列決定済みの中国・雲南省周辺の栽培種・野生種、また共同研究者が配列決定予定の世界各地の在来種を加えた合計数百個体の全ゲノム配列を用いて全ゲノムのSNP(一塩基多型)を同定する。これらを用いた様々な集団遺伝学的解析を行うことにより、ソバの成立から日本への伝播に至る過程を解明する。
本研究では、中国南西部に起原したソバ(フツウソバ:Fagopyrum esculentum)の日本および世界各地への伝播・拡散の過程を明らかにすることが大きな目的である。数年前から我々は、リファレンスゲノムとして利用可能なソバ自殖系統の染色体レベルのアセンブリ構築に取り組んできた。本研究課題では、ソバの栽培化、世界各地への拡散および日本への伝播の過程を明らかにするため、イギリス・ケンブリッジ大や韓国の共同研究者らの協力のもと、日本の在来種107系統、朝鮮半島の在来種22系統を含む世界各地の栽培種245系統の全ゲノムシーケンシングを行った。さらに、シーケンシング済みの系統を加え、栽培種303系統、野生種57系統の計360系統のシーケンスをリファレンスゲノムにマッピングすることで約54万の一塩基多型(SNP)を同定し、これらを用いてAdmixture解析や主成分分析(PCA)などの集団遺伝学的な解析を行った。その結果、まず世界各地の栽培種がいずれもチベット南東部の野生種集団に起原したことが示唆された。さらに、日本へのソバの伝播は、朝鮮半島、韓国から西日本という経路を辿り、日本の中では西日本から東日本、その後北海道に拡散した可能性が高いことがわかった。なお、ソバゲノムのアセンブリ構築、ソバ属植物のゲノム進化、ゲノム情報を用いたソバの遺伝育種、ソバ二花柱型自家不和合性の遺伝的基盤、そしてソバの栽培化に関する研究成果をまとめた論文を本年執筆し、現在投稿中である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 Other
All Int'l Joint Research (4 results) Journal Article (1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 3 results)
アグリバイオ
Volume: 6 Pages: 23-27