Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
イエネコ(Felis catus)は古くからヒトと強い関わりをもつ動物とされてきたが、その日本への移入時期については諸説があり、未解明な部分が多い。本研究では、日本に古くから存在するイエネコ(日本猫)の起源と成立過程を明らかにするため、日本各地のイエネコ集団に由来するゲノム情報を解析する。また、ヒトとともにイエネコとの関わりが深いハツカネズミのゲノム情報を用いた比較ゲノム解析を行うことで、他種と共通した移動の歴史を明らかにする。
イエネコは古くから人類と深い関わりがある動物であるが、日本におけるイエネコ(日本猫)の祖先がいつ、どのように日本へ導入されたかは諸説があり、未解明な部分が多い。本研究では、全国各地の日本猫の全ゲノムデータを用いて、日本猫の起源と成立過程を明らかにすることを目的として研究を行った。本年度では前年度に収集した日本各地のイエネコの全ゲノムデータと、国際ゲノムデータベースに登録されている、全128個体のイエネコおよびイエネコに近縁な野生ネコ科動物から得られた全ゲノムデータを用い、国内のイエネコの遺伝構造を検討した。その結果、国内各地のイエネコは、およそ4つの集団(北海道・東北地方、関東・関西・中部地方、九州地方、沖縄地方)に分けられることがわかった。また、日本の集団の中でも、沖縄の集団が最も欧米のイエネコ集団に近縁であることが明らかになった。次に、沖縄集団の歴史的変遷をより詳細に調べるために、共同研究者から借り受けた沖縄の考古資料1点(ネコと思われる尺骨)を用いた古代DNAを用いた解析を実施した。本資料の放射性炭素年代測定の結果、西暦1500年頃のものであることが推定された。また、本資料からDNAを抽出し、ゲノム解析を行った結果、本資料は近縁な野生種ではなくイエネコであること、現生の日本猫よりも現生のユーラシア大陸のイエネコに近いことが明らかになった。現代の沖縄のイエネコは、大陸から持ち込まれた後に、欧米のイエネコと遺伝的交流が起こった可能性がある。江戸時代以降には全国各地の遺跡からイエネコの考古資料が発掘されていることから、沖縄だけでなく、同年代の他の遺跡の資料に由来する古代DNAを解析することで、過去の地域間のネコの移動の歴史がより詳細に明らかにできると考えられる。以上の成果は国内学術会議等での発表2件、一般向けの情報誌の記事1報の発表に繋がった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (4 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results)
Animals
Volume: 12 Issue: 6 Pages: 777-777
10.3390/ani12060777