Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
環状分子に軸状分子を貫通させたロタキサンは、外部エネルギーを機械的運動に変換する代表的な分子マシンであるが、その軸状分子は細い直径のものに限られていた。研究代表者が開発した大環状錯体M-hexapapは、直径1nm以上の巨大な内孔を有し、6つの金属原子がその配位サイトを内側に向けて固定される特徴をもつ。本研究では、このM-hexapapをロタキサンの輪成分として用い、巨大な内孔に取り込む複数の軸状分子/太い直径の軸状分子に対して、内孔の金属による多点配位捕捉や触媒反応を行い、化学エネルギーをもとに精密な軸状分子の合成と一次元運動を実現する分子システムを創出することを目指す。
本研究では、大環状錯体M-hexapapがもつ直径1nm以上の巨大な内孔を用いて、内孔の金属による多点配位捕捉などを利用し、化学エネルギーをもとにして精密な分子変換と運動を実現する分子システムの創出を目指した。本年度は特に、hexapapのパラジウム6核錯体の内孔に結合する配位子を用いた環構造と分子運動の制御に関する興味深い研究成果が得られた。この環状六量体錯体は、pap金属錯体の単量体ユニット同士の角度の異なる2つのコンフォメーションを取ることがわかった。1つが、6つの内孔の配位部位が交互に上下上下上下となる交互型コンフォメーションであり、もう1つが、配位部位が上中下上中下となるねじれ型コンフォメーションである。興味深いことに、直鎖状ジアミンを内孔配位子として用いると、ジアミンはその分子長に応じて3つの異なる架橋様式で捕捉され、大環状分子の2つのコンフォメーションの精密制御が実現できることが示された。通常、金属配位性ホスト分子が複数の配位部位を持つ場合、外部配位子の添加によりランダムで制御不能な混合物となることが多く、入ってくるゲスト配位子がどの配位部位に結合するかを制御することは困難であった。本研究では、配位部位を6つ持つ環状分子であっても、その形状や分子運動を精密に制御できることを示した点で意義深いと言える。また、M-hexapapを輪成分、カーボンナノチューブを軸成分としたロタキサンの形成と、発動分子の運動機構の解明を目指して、一分子計測を専門とする研究者との共同研究を推進した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Chemistry Letters
Volume: 51 Issue: 10 Pages: 1018-1021
10.1246/cl.220314
Volume: 51 Issue: 12 Pages: 1128-1130
10.1246/cl.220408
DaltonTransactions
Volume: 51 Issue: 45 Pages: 17277-17282
10.1039/d2dt03331c
Volume: 50 Issue: 10 Pages: 1822-1830
10.1246/cl.210418
130008101917
https://www.chem.tsukuba.ac.jp/nakamura/