Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
患者自身の表皮幹細胞を用いた培養表皮シートの作製と移植は、多く患者の命を救ってきた再生医療の先駆けとして知られている。本研究計画は、培養表皮シートの製造プロセスにおける予測不能な要因の一つである異質細胞=シンギュラリティ細胞の出現を検出する手法と、その出現機構を明らかにするものであり、本研究の成果は、幹細胞の自己複製能の維持機構という幹細胞生物学における主要テーマの解明という学術的な領域のみに留まらず、幹細胞を用いた再生医療の基盤技術として、広く社会に貢献するものである。
重度熱傷などへの再生医療に用いられている培養ヒト表皮幹細胞は、自己複製を繰り返しながら、幹細胞コロニーを形成する。しかしながら、突如として幹細胞コロニー内に自己複製能を消失した異質な細胞が生まれる。このような異質細胞が出現した幹細胞コロニーでは、連鎖的に他の多くの幹細胞が分裂停止し、分化した分裂停止コロニーへと形質転換する。すなわち、均一な幹細胞集団内に生まれた一つの異質な細胞=シンギュラリティ細胞が、幹細胞集団そのものを消失させる。この異質細胞の出現は、再生医療の大きなリスクとなっている。異質細胞出現の機構は不明であるが、申請者らは、前回の本領域公募研究の支援を受け、機械学習と物体追跡の手法を組み合わせ独自に開発した自動細胞追跡システムDeepACTによって、細胞運動能を指標にヒト表皮幹細胞コロニーに出現するシンギュラリティ細胞を非侵襲的に同定することに成功した。本研究では、ヒト表皮幹細胞コロニーに突如現れるシンギュラリティ細胞をDeepACTによって探知追跡しつつ、その出現機構や周辺細胞への影響を、新規に開発する細胞系譜解析システムと単一コロニーを構成する100個以下の細胞群からのシングルセル解析を組み合わせることによって明らかにする。シンギュラリティ細胞の出現機構と幹細胞コロニー全体への影響の解明は、幹細胞を用いた再生医療の進展に大きく貢献する。本研究では、我々の開発したDeepACTを超広視野イメージングシステムであるAMATERASで得られた画像に応用する研究を行い、細胞の輸送方法や、現地での培養、実際にデータを取得するところまでを行うことができた。今後、解析を行う予定である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021
All Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 3 results, Open Access: 2 results) Presentation (7 results) (of which Invited: 4 results)
EMBO Reports
Volume: - Issue: 6
10.15252/embr.202255439
Stem Cells
Volume: in press Issue: 8 Pages: 1091-1100
10.1002/stem.3371
J Cell Biol
Volume: 220 Issue: 11
10.1083/jcb.202012073