Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
シンギュラリティ現象を捕捉するには、トランススケールなイメージング技術が重要である。一方でその生理的意義や因果関係の解明には、シンギュラリティ細胞やその周辺細胞に発現する分子に対し、局所かつ任意のタイミングで摂動を与える光操作法が必要であろう。本研究では、これまで培った光操作技術のノウハウを拡張し、3種類の内在性分子を同時かつ自在に操作可能な、革新的光操作技術の創生を目指す。
本年はまず、開発した立体構造形成効率が高い新規光増感タンパク質HyperNovaの有用性を明らかにするために、様々な分子に対するCALI法を開発した。これまでに、主要な細胞内シグナル分子であるMAPK(ERK、JNK、p38)やMAPKKとして知られるMEK1に対するCALI法の開発に成功した。現在は、CamKIIやcdc42などシナプス可塑性分子への適用を随時進めている。本年は更に、HyperNovaの色変異体の開発も進めた。これまでにHyperNovaのクロモフォア等にアミノ酸変異を導入することで、吸収波長のピークが452nmと503nmの2種類の色変異体の開発に成功した(それぞれHyperNova-Green、HyperNova-Yellowとする)。またin vitroにおいて、HyperNova-Green、HyperNova-Yellowともに十分な活性酸素(一重項酸素およびスーパーオキサイド)の産生能を確認できた。さらにミトコンドリアに発現し光照射をしたところ、細胞死が誘導できることを確認できたため、生細胞でCALIを行うために実用的なレベルであると考えられる。また新規ペプチド配列を用いたハイスループットCALI法については、細胞内分子のCALIを可能にするために、細胞内で安定して発現可能な一本鎖抗体scFVの開発に成功した。現在scFVとHyperNovaの融合分子を作製し、細胞内でCALIがワークするか確認を進めている。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
予定通りHyperNovaの性能を確認するための実験が進み、さらに色変異体の開発にも成功した。また当初一本鎖抗体は細胞内で凝集体を形成するなど多くの問題があったが、様々な改良を加えることで細胞質に安定発現することができた。以上から本研究は、当初の予定通り順調に進行していると考える。
HyperNovaについては論文の投稿を進める。色変異体については吸収波長のCross talkが3種同時操作の支障にならないかなどの基本データを取得し、3種類同時操作実験も進めたい。またハイスループットCALI法については、このペースで様々な分子に適用し、技術の成熟化を目指す。
All 2021
All Presentation (3 results)