Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
生体内外のストレスにより傷害を受けた上皮組織は、その損傷を修復し再生することが可能である。このような損傷組織の修復・再生は、多種多様な細胞が時空間的にコミュニケーションし合うことで達成される複雑な現象であることから、その仕組みはいまだ不明な点が多い。そこで本研究では、損傷組織に出現して修復再生の駆動力となる少数の細胞群に着目し、これらの少数細胞の出現機構と組織修復に対する役割を生体レベルで明らかにする。
多細胞生物において傷害を受けた上皮組織は、炎症応答・増殖・再上皮化など複数の生体応答を時間軸に沿って引き起こすことで損傷を修復し再生する。しかし、損傷組織では多数の細胞がその挙動を動的に変化させながら、組織の修復を時間軸に沿って促すため組織修復の制御メカニズムにはいまだ不明な点が多い。本研究では、ショウジョウバエ上皮の組織傷害に応答して損傷組織内に出現する転写リプレッサーZfh1を発現する少数の細胞を「修復制御シンギュラリティ細胞」と定義し、その時空間動態制御メカニズムとこれらの少数のZfh1細胞がどのように損傷組織の修復と再生を駆動していくか、その分子メカニズムを遺伝学的解析やライブイメージング技術を駆使することで明らかにする。当該年度において、上皮組織に出現するZfh1細胞が組織傷害に応答して集積してきたマクロファージの近傍に存在していることを見いだした。マクロファージを遺伝学的に除去したところ、上皮組織のZfh1の発現が抑制された。このことから、組織傷害に応答したZfh1の発現がマクロファージによって誘導されていることが見えてきた。さらにZfh1細胞の機能・役割を明らかにするために、遺伝学的手法を用いて上皮組織にZfh1細胞を野生型細胞とモザイク状に誘導し上皮に出現したZfh1細胞の性質・動態を解析した。その結果、Zfh1細胞では上皮極性因子やE-カドヘリンなどの発現が低下しており、Zfh1細胞は上皮層から逸脱し上皮-間葉転換(EMT)様の現象挙動を示すことが分かった。これらの結果から、上皮とマクロファージの相互作用により発生したZfh1細胞はEMT様の動態変化を引き起こすことで、損傷組織の3次元形態の構築に貢献している可能性が示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fly
Volume: 16 Issue: 1 Pages: 367-381
10.1080/19336934.2022.2148828
Developmental Cell
Volume: 56 Issue: 15 Pages: 2223-2236
10.1016/j.devcel.2021.07.002
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-07-29
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/607320
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/606830
https://sj.jst.go.jp/news/202110/n1018-01k.html