Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
①中年期・高齢期の夫婦 ②未婚、離婚、死別などにより配偶者がいない中年者・高齢者 ③高齢の親と中年・高齢の子ども ④ロールモデルとなる高齢の親がいない中年者・高齢者を対象に、親密な関係にある他者との交流によって構築される「高齢者イメージやステレオタイプ」を理解し、それらが高齢者としての自己概念の形成や社会的役の割獲得に影響する過程を検討するための調査を行う。本研究により、生涯発達における processes of socialization to old ageを説明する理論構築を行い、高齢者にとって効率的な私的・公的サポートシステムや社会活動促進案に関する示唆を得ることをめざす。
本研究の目的は、高齢期のウェルビーイングに影響すると言われる「加齢観」(老いへの態度)が、どのようなプロセスを経て作りかえられていくのかを、家族という最小単位の社会に注目してとらえることである。既存の「加齢観」に関する研究は、ある集団の中の個人が持つエイジズムやエイジステレオタイプが「加齢観」の形成に影響するとして行われてきた。しかし、「加齢観」は他者との交流を通して作りかえられていくものであり、その形成過程を理解することで、社会が個人に与える影響、もしくは個人が社会全体に与える影響を理解することが可能となる。そこで本研究では、「加齢観」がどのように形成されるか(プロセス)を理解するために、高齢者としての自己概念の形成に最も強く影響すると言われる親密な関係にある他者との相互関係(Cooley 1902, Mead 1934, Goffman 1959)を調べる事で、他者との関係を通して形成される「加齢観」を提示する。研究期間内に、1)中年期・高齢期の夫婦(7組14名)2)未婚・離婚・死別などにより配偶者がいない中年・高齢者(5名)3)高齢の親と中年の子ども(2組4名)4)ロールモデルとなる高齢の親がいない中年者・高齢者(16名)を対象に、親密な他者との関係の有無やあり方が「加齢観」の形成にどのように影響しているかを理解するための半構造化インタビュー調査を実施した。現在は、インタビュー調査での発言のグループ内比較とグループ間比較に注目した分析を進めている。今後さらに分析を進めて、生涯発達におけるprocess of socialization to old age(高齢期の社会化プロセス)を説明する理論構築を行う。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。