Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
高齢化が進む日本国内において,視覚障害者・聴覚障害者の半数以上は高齢期にある.彼らの感覚体験や生活訓練状況は多岐に渡るため,共通した生涯学習スキームや支援策などを打ち出しにくい.一方で,障害状況における生涯での対処経験やニーズなどを解明できれば,高齢期になって受障した人の自立支援策などを詳細化でき,ひいては超多様性社会の進展に繋がる.そこで,本研究の目的を,先天性・後天性の視覚障害・聴覚障害のある高齢者のライフヒストリーを基に,レジリエンスを維持・向上させた要因を解明し,その時点のニーズなどを踏まえた生涯学習スキームの構築とする.
本年度の成果は以下のように整理できる:1) 先天・後天性の聴覚障害者へのライフヒストリー調査とレジリエンス性を維持・向上させた要因の分析:前年度に引き続き,インタビューを実施した5名の先天・後天性の聴覚障害の方の書き起こしテキストにコーディングを行った上で,レジリエンス性を維持・向上させた要因について分析した.この結果より,失聴時期によらず,障害当事者との繋がりが大きな役割を果たす点が具体化された.また,先天性の方では問題解決や共感性,「心の安全基地」,興味関心の多様性が確認された他,後天性の方では知的スキル,問題解決能力,努力志向性,同じ立場の仲間が重要である点が示された.この点を踏まえ,大人数でのウェブアンケート調査を実施した.この結果,レジリエンス特性に関しては失聴時期の要因は有意な主効果を及ぼさない一方,高齢層の方が若年層より概して有意に高い点が示された.ただし,楽観性は年齢と聴覚障害状況の有意な交互作用が,社交性においても年齢と聴覚障害状況の有意な交互作用が確認された.この要因を具体的に探っており,学習スキームへの反映方略について分析していく.2)先天・後天性の視覚障害者への学び直しニーズに関する大規模アンケート調査: 特に視覚障害の社会人における学び直しニーズについて,これまで実施したアンケート調査結果を踏まえて分析した.この結果,レジリエンス性を維持・向上させうる要因以外に,就業環境における一種のアンコンシャスバイアスの存在が示され,障害当事者のみならずその周囲の人達や環境へのアプローチ方略をさらに検討する必要性が示された.この他,先天性の視覚障害の方が日常生活を円滑に行うための聴覚による空間知覚能力について調査した.3)生涯学習スキームの検討のための現状調査: 視覚障害の方における就労支援環境の実地調査を行い,五感活用を促進する環境要因について取りまとめた.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021
All Journal Article (6 results) (of which Peer Reviewed: 5 results, Open Access: 5 results) Presentation (3 results)
Journal on Technology and Persons with Disabilities
Volume: 11
International Journal of Environmental Research and Public Health
Volume: 20(8) Issue: 8 Pages: 5573-5573
10.3390/ijerph20085573
PSYCHOLOGIA
Volume: 65 Issue: 1 Pages: 70-99
10.2117/psysoc.2022-B031
筑波技術大学テクノレポート
Volume: 31
2022 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics (SMC)
Volume: 2022 Pages: 1540-1545
10.1109/smc53654.2022.9945294
Lecture Notes in Computer Science
Volume: 13342 Pages: 79-88
10.1007/978-3-031-08645-8_10