Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
従来の放射性炭素年代測定では測定対象となっていなかった、土器胎土中の潜在圧痕に残された炭化種実で放射性炭素年代測定を実施することで、海洋リザーバ効果や古木効果が影響しない、より確実な放射性炭素年代を土器資料に与えることが可能である。そのためには、我々の開発した技術を活用することが可能であり、その新手法の社会実装を実現するために、迅速かつ簡便に極微量炭素の放射性炭素年代測定を実施する新たなシステムの構築する。
数十μg炭素の超微量試料の加速器質量分析計(AMS)による炭素14測定を確実に行えるものとすることが本公募研究の最終目的である。東京大学総合研究博物館放射性炭素年代測定室では公募研究申請時点ですでに100μg炭素程度の試料についてはルーチン化しており、さらにプロトコルに改良を加えることで、取り扱える試料の炭素量をさらに少なくすることを目指した。50μgを下回る炭素量の試料に対してこれまでの100μg炭素試料用プロトコルではAMS測定試料調整に失敗することが多かったが、公募研究初年度から継続して行っていた新たなプロトコルについて、二酸化炭素ガスを保存するガラスアンプル容積の小型化、真空ライン内コネクタの密閉度の向上、二酸化炭素の還元の際に加える水素ガスの圧力などの適正値の把握などの改良・改善を施すことで数十μg炭素の試料についてもAMS測定試料調整を確実に行えるプロトコルを確立することができた。また、AMS測定シーケンスについても、従来のシーケンスでは測定中に消費した試料量に対し1/4程度が、測定中のビーム強度が安定するのを待つために、実際の計算に用いていなかったが、これを見直し、新たにシーケンスを組み立て直すことで超微量試料における「測定効率」の改善を図り、実際に現状では最大限と考えられる測定効率が得られることを確認し、新たな測定シーケンスを構築した。公募研究最終年度において目標とした数十μg炭素の超微量試料のAMS測定手法を確立するに至った。今後、ルーチン化を行い、東京大学総合研究博物館放射性炭素年代測定室にて共同利用可能なものとする予定である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022
All Presentation (3 results)