Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
2010年代に日本で急速に発展した「酸素同位体比年輪年代法」により、様々な時代の木材に暦年代が与えられ、日本の単年輪炭素14データを充実させるチャンスが到来している。本研究では、日本産資料の暦年較正の高度化を見据え、酸素同位体比年輪年代法で年代決定した植物利用遺構の出土木材を用いて、単年輪の炭素14測定を実施し、次期IntCalの基盤データを獲得する。さらに、このデータを応用し、究極の高精度年代法ともいえる「炭素14年輪年代法」の確立を目指す。
本研究の目的は、日本産資料の暦年較正の高度化を見据えて、1)植物利用遺構から出土した木材をもとに紀元1-3世紀の炭素14データを隙間なく獲得する、2)同じ暦年の年輪を複数回測定して統計誤差を縮小し日本特有のウィグルをとらえる、3)年輪年代法の統計解析を応用し「炭素14年輪年代法」を確立するという3点である。同じ暦年の年輪試料を繰り返し測定することで、炭素14年代誤差を小さくし、日本特有のウィグルを精密にとらえ、質の高い炭素14標準年輪曲線を構築し、年輪年代学的解析による誤差0年の年代決定を目指した。本研究では、紀元1-3世紀の年輪をもつ佐渡島の低湿地遺跡から検出された植物利用遺構の出土木材を分析して、単年輪炭素1 4データを獲得した。2年間の研究期間において、90年輪の3回繰り返し測定が完了し、クオリティの高い炭素14データが獲得できた。委託した測定機関の都合等で、予定していた全ての年輪の測定はできなかったが、新たな科研費の獲得によって継続する予定である。すべてのデータが揃ったのが2年目の年度末であったため、目的の3)までを達成することはできなかったが、非常に質の高い重要な年代の単年輪炭素14データを獲得できたので、これを元に通常の測定では把握できない細かな炭素14挙動(ウィグル)の復元を今後目指していく。本研究のクオリティの高いデータは次期IntCalの基盤データにするほか、炭素14の時系列変動に基づく年輪年代測定の標準年輪曲線とする予定である。本研究の計画と途中経過をまとめ、日本文化財科学会第39回大会で発表した結果、ポスター賞を受賞した。また、考古学ジャーナルにも、本研究に関連する論文を発表した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
All Journal Article (2 results) Presentation (1 results)
考古学ジャーナル
Volume: 779 Pages: 15-18
KEK Proceedings
Volume: 2022-1 Pages: 145-159