Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究は、日本がイスラーム世界との直接的な繋がりをもつようになった幕末~明治初期において、重点的な基礎研究として当時の日本人による中東・イスラーム世界に関する広範な記録史料に基づいて再検討し、日本の知識人層のイスラームやムスリムをめぐる知の動態を明らかにすることを目的としている。またデジタル化がなされていない史料を利用する際には、史料保存と次世代の研究インフラ整備を目的に、随時該当史料の所蔵機関と協力しながらデジタル化を進めていく。
当初の想定に反し、幕府公式遣外使節団に関する史料調査の結果、幕府公式遣外使節団および留学生団に関する史料の情報量が不足していることが判明したため研究期間の延長を行い、名倉予可人の『航海日録』などの史料の収集を行った。これらの史料収集を通じて、一次資料ならではの作者による挿絵などについても把握することが可能となり、幕末の日本人によるイスラームの発見およびムスリムとの交流について理解を深めることができた。また江戸時代の日本におけるイスラーム圏との接触機会について長崎市の稲佐悟真寺国際墓地の埋葬者などについて調査を実施し、墓標の埋葬時期や出島のオランダ商館図に描かれた日本に来航した船舶の船員たちのなかに含まれるムスリムの存在が確認できた。また前年度までの成果の一部を政情不安のなかでイラクのバグダードで実施した第14回日本・イラク学術合同会議において口頭発表という形で発信を行った。本科研がイスラーム世界との歴史的な信頼関係の発見を企図しており、両国間の学術交流と相互理解を目的とした同会議での報告は研究到達目標の一つの達成とも言える。2月までの研究計画の延長を行うなかで、これまでの研究成果の取りまとめも大いにすすめることができ、次年度に明治期までを対象とした日本におけるイスラーム世界との歴史的関係について研究書の刊行を行うために、執筆を進めた。また外国語での成果刊行としても、イラクでの学術会議の発表原稿をもとに論考の作成を進めた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results) Book (1 results) Remarks (1 results)
Annals of Japan Association for Middle East Studies
Volume: 37(2) Pages: 1-30
イラン研究
Volume: 18 Pages: 94-108
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