Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
我々は,真空中に生成させた芳香族分子を含む錯イオンを,気相状態のまま極低温冷却(< 10 K)し,光解離分光法や二重共鳴分光法によりその赤外~紫外領域の吸収スペクトルを観測する技術をもつ。さらに我々の装置は,光化学反応による生成物の冷却・安定化過程を吸収スペクトルの時間変化として観測することが可能である。本研究では,アンモニウムNH4+と芳香族分子により形成される(NH4+・芳香族分子)錯体について,「反応物の光励起 → 化学反応 → 生成物の安定化」の過程を分光学的に観測する。これにより,宇宙空間での有機分子,生体関連分子の発生起源について明らかにする。
宇宙空間には,多環芳香族炭化水素(PAH),フラーレン,ベンゾニトリルなどの芳香族分子が多数存在していることが示唆されており,地球上の生命体の源となった物質の候補として注目されている。これらの分子,イオンを検出するための有力な方法として近赤外~可視~紫外領域の電子スペクトルの測定が挙げられるが,実験室での測定例が少なく,その同定には至っていない。本研究では,芳香族分子を含むイオン錯体について,気相状態での「反応物の光励起 →化学反応 → 生成物の安定化」のプロセスを,量子状態(電子・振動状態)を分離しながら電子遷移により観測することをめざす。これにより,宇宙の分子進化における多様性,特に芳香族分子や生体関連分子の存在や成り立ちを明らかにすることを目的とする。今年度は,星間においてその存在が予測されているアンモニウムイオンNH4+と芳香族分子であるベンゾクラウンエーテルとの間で形成される錯イオンの衝突誘起解離,光解離の質量分析を行い,アミノ基NH2-をもつ生成物の有無について検証した。NH4+錯イオンを衝突誘起解離させ高分解能質量分析を行ったところ,アミノ基をもつ解離物の生成が確認された。これは,宇宙空間において芳香族分子とアンモニウムイオンNH4+の間で形成される錯イオンが,芳香族アミノ酸の起源となりうることを示唆している。一方で,光解離による解離生成物の中には,アミノ基をもつ解離生成物は確認されなかった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021
All Journal Article (7 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 7 results, Open Access: 2 results) Presentation (44 results) (of which Int'l Joint Research: 14 results, Invited: 7 results) Patent(Industrial Property Rights) (1 results)
The Journal of Physical Chemistry A
Volume: 126 Issue: 44 Pages: 8127-8135
10.1021/acs.jpca.2c05111
Phys. Chem. Chem. Phys.
Volume: 23 Issue: 2 Pages: 834-845
10.1039/d0cp04402d
RSC Advances
Volume: 11 Issue: 36 Pages: 22381-22389
10.1039/d1ra01430g
Volume: 125 Issue: 28 Pages: 6238-6245
10.1021/acs.jpca.1c04807
Volume: 125 Issue: 31 Pages: 6697-6702
10.1021/acs.jpca.1c04669
Physical Chemistry Chemical Physics
Volume: 23 Issue: 44 Pages: 25029-25037
10.1039/d1cp03336k
Volume: 125 Issue: 48 Pages: 10410-10418
10.1021/acs.jpca.1c09091