Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
高赤方偏移にある中性水素の超微細構造を起源とする、高赤方偏移21cm線は宇宙の新しい目として注目されている。本研究では、この高赤方偏移21cm線観測によるダークマター探索の可能性を検証する。21cm線シグナルの強度は中性水素の密度や温度に依存する。そのため、赤方偏移した21cm線のシグナル分布は、該当する赤方偏移でのバリオンガスの密度や温度の空間分布と繋がる。そこで本研究では、バリオンの温度に影響を与えるダークマターモデルに焦点をあて、そのモデルの21cm線への影響を精密に見積もる手法の確立し、将来大型電波望遠鏡計画SKAによる高赤方偏移21cm線観測を用いたモデルの検証の可能性を追求する。
本年度も引き続き、ダークマター(DM)として有力なモデルであるWeakly Interacting Massive Particle (WIMP) と原始ブラックホール (PBH)の混合モデルの宇宙論的検証の研究をおこなった。このモデルでは、DMであるPBHまわりにWIMPが高密度天体である、超コンパクトミニハロー(UCMH)が形成する。このUCMH中では、WIMPが高密度であるため、WIMPの特徴の一つである対消滅が盛んに起こることが期待される。この対消滅シグナル探査こそがこのモデルの検証となる。そこで本研究では、この対消滅シグナル探査として天の川銀河内のシンクロトロン放射の観測を提案した。対消滅では多くの荷電粒子が生成される。そのため、銀河内のPBHまわりのUCMHより放出された荷電粒子は銀河内の磁場構造と相互作用することによりシンクロトロン放射をすることが期待できる。そこで、最新の天の川銀河の磁場構造探査の結果を用いて、この放射の強度を求めた。この結果、放射強度はPBHの存在量に強く依存しており、この強度分布の上限値よりPBHの存在量の上限値を与えることを示した。銀河のシンクロトロン放射は電波観測により詳細に調べられている。そこで上の予言と観測量を比較することでPBHの存在量の上限を求めた。その結果、WIMP質量を100-1000GeVとすると、PBHがダークマターの総質量に占める割合は非常に限られており、わずか10^-5から10^-7程度の割合しか許されないことがわかった。このことは、CMBやガンマ線観測などとほぼ同程度の上限値であり、電波観測によってもWIMPとPBHの混合モデルは非常に厳しく制限される。このほかにも宇宙論的シンクロトロン放射観測によるDM探査に関連する研究もおこなっている。これらの結果はすでに2本の学術論文にまとめられてすでに公表されている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021 Other
All Int'l Joint Research (3 results) Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Peer Reviewed: 5 results) Presentation (1 results)
Journal of Cosmology and Astroparticle Physics
Volume: 2022 Issue: 08 Pages: 004-004
10.1088/1475-7516/2022/08/004
Physical Review D
Volume: 106 Issue: 6
10.1103/physrevd.106.063523
Volume: 105 Issue: 6 Pages: 063531-063531
10.1103/physrevd.105.063531
Volume: 2022 Issue: 03 Pages: 045-045
10.1088/1475-7516/2022/03/045
Volume: 104 Issue: 6 Pages: 063522-063522
10.1103/physrevd.104.063522