Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
冷たい暗黒物質(CDM)モデルは、一般に大スケールにおける銀河分布の観測結果をよく説明する。しかし、中には現象論的モデルでは再現できない観測結果もある。広大な暗黒物質候補スペースを探索する上で重要な指針である「CDMは大スケール構造形成の良いモデル」という定説を確たるものとすべく、現象論的なモデル計算で再現できていない大質量銀河のクラスタリングを再検討する。方法としては、近年実行、公開された超大規模なCDMモデルのシミュレーションのデータを用いて、観測が避けられないバイアスであるコズミックバリアンスを考慮して銀河クラスタリングの現象論的モデル計算を行い、観測結果との整合を試みる。
冷たい暗黒物質(CDM)と宇宙項Λを含む宇宙論モデルは、大スケールにおける銀河クラスタリングの観測結果をよく説明する。しかし、中には現象論的モデルでは再現できない観測結果もある。本研究では、CDMモデルは大スケール構造形成の良いモデルという定説を確たるものとすべく、現象論的なモデル計算で再現できていない大質量銀河のクラスタリングを、コズミックバリアンスを踏まえて再検討し、CDMモデルで再現できることを示すことを目的とした。高解像度シミュレーションを用いて調べた結果、コズミックバリアンスだけでは既存のモデル計算と観測値の差を埋めることは難しいことがわかった。そこで、本研究独自の現象論的モデルを開発することとした。すばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam掃天観測で得られた最新の銀河クラスタリングと比べたところ、既存モデルでは再現できない場合でも我々のモデルでは観測結果をよく再現できることがわかった。すなわち現象論的モデルの詳細によって、観測を再現できる場合とできない場合があるということであり、CDMモデルの妥当性を検討するためには多角的に検証された現象論的モデルを用いる必要があるといえる。加えて、観測を再現するよう調整された我々のモデルのパラメーターは、独立な銀河形成シミュレーションから示唆されていた銀河の二位相成長説と整合するという極めて興味深い結果が得られた。本研究の成果は国際学会3件、国内学会1件で発表し、学術雑誌に投稿し査読中である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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