Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
重い質量領域における新粒子の発見に難航しているLHC実験の結果を踏まえ、より広範囲の質量領域における新粒子探索に関して世界中で活発に議論が行われている。探索手法の1つが固定標的実験であり、各加速器施設において利用できる特徴的なビームを実験に用いることで、MeVからGeVのオーダの質量をもつ新粒子を直接探ることができる。そこで、本研究では、KEK電子陽電子入射器で利用可能な高バンチ電荷のビームを固定標的実験に活用し、その質量領域に潜む様々な新粒子シナリオに対して最大の発見感度をもつ実験セットアップを、シミュレーション・スタディにより見極め、将来実験に必要な知見を得ることを目的とする。
2012年にLHC実験によってヒッグス粒子が発見され素粒子標準模型は完成した。しかし、発見が期待されていた100GeVオーダー以上の質量をもつ「重い」粒子は発見されていない。そこで、MeVからGeV程度の質量をもつ「軽い」未知の粒子の発見に関して、ビームダンプ実験によりアプローチし、世界最高感度を目指す。特に、短いシールドを用いることで、過去の実験とすでに提案されている将来実験でも探ることができないタイプのアクシオンや様々MeV-GeVオーダーの質量をもつ新粒子に対して世界最大感度で迫ることを目標としている。本年度では、KEKで利用可能な電子・陽電子ビームを想定したビームダンプ実験を提案し論文化したものが受理された。また、昨年度に設計したビームダンプおよびシールドをKEK入射器の第3スイッチヤードに設置し、テスト実験を行った。主な目的は、背景事象のスタディである。結果として、背景事象の発生量とその発生場所を特定することができた。ここで得られた知見を元に物理測定を行うための新たなシールドの設計を進めている。また、タングステン製のビームダンプの温度上昇に関するデータも取得した。結果として、利用可能な最大ビームカレントを用いた場合においても、十分にビームダンプとして機能することがわかった。物理測定のPhase-1では、KEK-TRISTAN時代の鉛ガラス検出器を再利用する予定である。保管されている中から、必要数の検出器を確保し、KEKに新しく設置されたPF-AR南テストビームラインで検出器の校正を行った。結果として、全検出器に対する校正が完了し、検出器は物理測定で想定されているエネルギー分解能を有すことがわかった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022
All Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 2 results, Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 2 results)
Journal of the Particle Accelerator Society of Japan
Volume: 19 Issue: 1 Pages: 41-43
10.50868/pasj.19.1_41
Progress of Theoretical and Experimental Physics
Volume: 2022 Issue: 11
10.1093/ptep/ptac129
Journal of High Energy Physics
Volume: 2022 Issue: 12 Pages: 1-1
10.1007/jhep12(2022)145