Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
重力に束縛された天体系においては、暗黒物質密度は、観測できる天体分布からジーンズ方程式で得られるが、実際に観測する天体分布は、視線方向の射影であり、観測と、暗黒物質密度分布の間の関係は間接的である。このため、暗黒物質密度と天体分布に最もらしい解析関数を仮定しこれを観測データを比較することが一般的に行われている。。解析の簡便性のためにこのプロファイルについての仮定は、解析的な解が得られるものに制限されているものが多い。本研究計画では、深層学習によって、より観測データに忠実な暗黒物質密度を、深層学習の表現力を使って求めることを目的とする。
暗黒物質は対消滅を通して光などの信号を出すと期待されており、このため銀河や矮小銀河などの密度分布の推定は重要である。とくに、矮小銀河は天体活動からくるバックグラウンドが少ないと考えられるため、矮小銀河における暗黒物質密度が重要となる。暗黒物質密度は、矮小銀河内の星の運動をプルーブとし、ジーンズ方程式を解くことによって求められるが、視線方向の位置と、視線方向の速度成分しか観測できないため、モデル的な暗黒物質密度とそれに整合する星分布の解析解に依存し、MCMCによってパラメータ範囲を決定する解析が多かった。本研究では、深層学習の表現可能性を活用して、天体分布から直接位置と速度分布を球対称な模型について求め、ここから直接的にジーンズ方程式の解である暗黒物質密度を求めることに成功した。モデルの決定には、GAN を用いて、天体分布と整合する星の分布のモデルを学習することにした。矮小銀河に属する天体の数が比較的少ないため、このような手法をとることに困難があったが、continuous nermalizing flow と呼ばれる手法をもちいることで解決した。これは、normalizing flow を微分方程式として定義し導関数を深層学習モデルとして表す手法であり、これによって少数のサンプルによって解が大きく変動することを防ぎ、また、原点での条件を加えることで、安定した解を得ることができた。さらにモックデータや具体的な天体の観測データにおいても適切な解が得られることを確認した。また、β( v_r と v_t の比率)に関しても原理的に自由な値が取れるという点で、これまでの手法に比べて優れている。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
All 2023
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