Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
meso-N置換アザポルフィリンラジカルには、特異な電気化学特性、光物性、芳香族性の発現が期待できるほか、酸化・還元をスイッチとして、さまざまな分子との間に引力的な相互作用と斥力的な相互作用を生み出す機能の付与が期待できる。これらの点をふまえ、空気中で安定なアザポルフィリンラジカルの特徴を活かした高密度共役系の実現をめざし、さまざまな誘導体の合成と物性の評価を行う。
本研究の目的は、meso窒素上に置換基を1つあるいは2つ持つアザポルフィリンラジカルを合成する簡便な方法を確立し、得られた誘導体の構造―物性相関を明らかにした上で、高密度共役の実現へ向け、これらのラジカルをプラットフォームとして利用することである。2022年度は、主に以下の二つの課題に取り組んだ。課題1「meso窒素上に置換基を1つ持つジアザポルフィリン金属錯体(RDAP)の合成と物性評価」10,20-ジアリール-5,15-ジアザポルフィリン(DAP)のmeso窒素上に芳香族置換基を導入する簡便な方法を確立し、RDAPイオン対の合成法を一般化することに成功した。得られた錯体について、NMR、紫外/可視/近赤外吸収スペクトル、CV測定等を行い、芳香族性、光物性、電気化学特性を明らかにした。また、RDAP中性ラジカルを合成し、meso窒素上の置換基の数が19π電子構造を持つポルフィリンラジカルの安定性に与える影響を明らかにした。課題2「R2DAPラジカルを含む電荷移動錯体の合成と物性評価」分子間のスピン-スピン相互作用を利用したR2DAPラジカルを含むイオン対を創成するため、電荷移動錯体の合成を検討した。具体的には、20π電子構造を持つR2DAPを電子ドナー、TCNQを電子アクセプターとして、両者を混合することによりラジカルイオン対を合成した。得られたイオン対について、X線結晶構造解析、ESR、紫外/可視/近赤外吸収スペクトル、CV測定等を行い、参照系となる単量体の構造・物性と比較した。その結果、R2DAPラジカルカチオンとTCNQラジカルアニオンは結晶状態で交互積層構造を取ることや溶液中では分子間のスピン-スピン相互作用は弱いこと等が明らかとなった。得られた研究成果について、国際会議での依頼講演を含む10回の学会発表を行ったほか、2報の論文として報告した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (15 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 2 results) Remarks (1 results)
Journal of Porphyrins and Phthalocyanines
Volume: 27 Issue: 01n04 Pages: 172-183
10.1142/s1088424622500742
Organic and Biomolecular Chemistry
Volume: 21 Issue: 15 Pages: 3034-3056
10.1039/d3ob00274h
Bulletin of the Chemical Society of Japan
Volume: 95 Issue: 3 Pages: 427-432
10.1246/bcsj.20220002
ChemPlusChem
Volume: 86 Issue: 10 Pages: 1476-1486
10.1002/cplu.202100429
http://chem.sc.niigata-u.ac.jp/~matano/recent_papers.html