Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)をマウス担癌モデルへ投与すると、1種のICIのみ致死的アナフィラキシーが発症し、抗薬物抗体(ADA)産生亢進が要因であった。ADA産生のダイバーシティの原因を解明し、ADA産生の少ない抗体医薬の創出原理の解明を目的として研究を進める。Fc受容体親和性等に影響する抗体糖鎖構造を評価する。また2種の放射性動態体で標識した投与したICIの組織分布と分解過程、また抗体産生過程に関与するB細胞成熟化など評価する。ICI存在下での免疫細胞のin vivoや単離後のin vitro系での相互作用を解析し、ADA産生過程に関する相互作用促進や弱い相互作用について解析する。
(1)B細胞の成熟化と抗体産生過程の評価:免疫チェックポイント阻害剤投与後に引き起こされる抗薬物抗体(ADA)産生について、投与する抗体のアイソタイプの違いが及ぼす影響を評価するため、投与後の脾臓B細胞の形質細胞分化過程を評価し、ADA産生の亢進と分化した形質細胞の割合は一致していた。これによりクローンの差がADA産生過程に影響していることが示された。クローンの差として考えられる要因について、臨床で用いられている抗PD-L1抗体3剤におけるアナフィラキシー報告をデータベースで解析し、アナフィラキシー発症が多い薬剤の特徴とも一致し、本研究で見出したクローンの差がADA産生に影響していると考えられる。(2)投与した抗PD-L1抗体の脾臓組織中局在観察:異なるクローンの抗PD-L1抗体を投与したところ、1つは脾臓胚中心へ集積したが、もう一方は胚中心の辺縁部に集積していた。クローン依存的に抗体が集積する部位が異なることが観察された。また領域内共同研究として組織透明化についても検討し、透明化組織においても同様の様子が観察された。これらの部位に局在する細胞の解析により、各クローンが認識を受ける細胞種が異なるため、その後のADA産生に至る経路に影響していることが示唆された。(3)ADA産生の増悪に関与するがん病態で変化する免疫細胞の同定:ADA産生が亢進する担癌マウスでは骨髄系細胞が著しく増加しており、胚中心の中心部にまで浸潤する細胞を同定した。この細胞はB細胞の胚中心活性化マーカーであるGL7陽性領域に局在しており、これらの細胞を除去することでADA産生が減少することを明らかとした。この骨髄系細胞を担癌マウスより単離し、健常マウスから単離したB細胞を培養することで、GL7陽性の活性化B細胞が増加することを確認した。以上より、ADA産生の増悪に寄与する可能性のある免疫細胞を同定した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal for ImmunoTherapy of Cancer
Volume: 10 Issue: 12 Pages: e005657-e005657
10.1136/jitc-2022-005657
https://yakubutugaku.labby.jp/