Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究で申請者は、固体酸触媒の周期的に存在する酸点(カチオン)を調和振動子と捉え、その固有振動数に対応する周波数の電磁波を照射すれば、触媒に対して効率的にエネルギーを投入できると発想した。すなわち、サブギガヘルツ帯域(915 MHz)のGHz帯電磁波照射によって固体酸触媒中のカチオンを振動させることで、酸触媒機能を制御・増幅させた反応場「動的超秩序構造」を実現することを目的とした。カチオン振動状態の観測を放射光高エネルギーX線全散乱測定によって行う。また、「動的超秩序構造」を反応場とした触媒反応(MTO反応など)を実証し、カチオン振動に基づく反応速度論制御を目指す。
本年度は、下記の実績を得た。(1) 当初の研究計画に則り、昨年度に見出したCs交換ゼオライトの高いマイクロ波加熱効率について、マイクロ波照射下でのin situ高エネルギー全散乱測定を行った。これらの結果を分子動力学計算と組み合わせて解釈することで、ゼオライト骨格と比較して細孔内Csカチオンが200°C近い高温状態になっていることを見出した。また、このCsカチオンを活性点とするメタン酸化反応を行い、通常加熱と比較してマイクロ波加熱において、バルク反応温度を基準とした反応速度の劇的に上昇することを実証した。更に、Csカチオンの局所加熱に基づく反応選択性の向上も明らかにした。(2) 当初の研究計画に則り、多様な金属イオン交換ゼオライト群のマイクロ波加熱試験を実証し、1価のInカチオンで交換されたゼオライトが非常に効率よく加熱されることを見出した。また、この加熱効率はゼオライト細孔径にも依存したことから、Inカチオンの閉じ込められた空間の大きさなどによって加熱挙動が変化することを見出した。このInカチオンを活性点とするCO2水素化反応を行い、通常加熱と比較してマイクロ波加熱では、バルク反応温度を基準とした反応速度が上昇すること、またその変化の大きさがゼオライト細孔径に依存した傾向を示すことを明らかにした。これらの結果を踏まえて、本研究では、ゼオライト細孔内のカチオンのマイクロ波による特異な振動運動を基盤とした、動的超秩序構造の学理、および触媒反応への応用を確立した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023
All Presentation (1 results)