Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
近年、規則的な細孔構造を有する無機有機ハイブリッド多孔体(MOF)の物性や応用において構造欠陥の重要性が認識されるようになったが、金属ホスホネート系MOFでは構造欠陥が生じやすいにも関わらず、その詳細はほとんど解明されていない。本研究では、こうしたMOFに異種元素を導入することにより様々な「超秩序構造」を形成させ、それらを介して構造欠陥を解明するとともに、物性制御方法を確立することを目的とする。構造欠陥の意図的な導入や制御が可能になれば、材料の安定性向上だけでなく、構造欠陥を活性点とする固体触媒や物性発現等への展開が期待される。
本研究では、研究代表者らが開発した2種の金属ホスホネートMOF類縁化合物を母体化合物とし、構造欠陥の解明や物性制御方法の確立を目的とした。前年度にオキシ水酸化ガリウムを添加して得られた針状AlMepO-β単結晶はGaを含んでおり、XAFSより骨格置換の可能性が考えられた。X線ホログラフィーの予備測定を実施したものの、意味のあるホログラムパターンを得ることはできなかったので、高分解能粉末XRDデータを用い、Rietveld法による構造精密化を試みた。得られた構造では、3つのAl/P四員環の交点にあたっていて歪みが大きいと考えられるAl4サイトが最もGa置換されやすいことがわかった。MBP-1における金属種のイオン半径及び価数の違いに着目し、2種の金属種を用いて得られるMBP-1における固溶挙動を構造・組成の観点から調査した。2価金属種同士の組み合わせであるCd-MnBP-1では、全ての組成範囲で単一相が得られたが、Cdは生成物中にほぼ仕込み組成通りに導入されており、Cd含有量の増加に伴った格子定数の増大が見られたことから、全組成範囲で固溶体が形成されていると考えられる。一方、価数の異なる金属種同士の組み合わせであるV-MnBP-1では、V含有量の増加に伴い格子定数が直線的に変化する相(phase 1)に加え、高V含有量領域ではVBP-1と同様の格子定数をとる相(phase 2)も見出された。これは、phase 1ではMnBP-1にVBP-1が固溶しており、phase 2はほぼMn種を含まないVBP-1と考えられ、V含有量の増加に伴い、phase 1のM/BTP比が金属サイト欠損の存在を示す2以下から徐々に3程度まで上昇することから、配位子欠損を伴って固溶相が形成され、約55%と見積もられる固溶限界を超えるとVBP-1相が出現するものと考えられる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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