Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究では元素選択的な局所構造解析手法であるEXAFSを中心に,長距離秩序に敏感なX線回折と中距離構造を見る二体相関分布関数(結晶PDF)を組み合わせることで,構造を平均化しない鉄合金の新たな秩序構造(原子対のネットワーク)の可視化を目指す.特にFe-Fe相関という3次元的なFe原子の並び方を鉄合金の「超秩序構造」と捉えることで,磁気体積効果によるFe-Fe原子対の伸び縮みが合金全体の体積変化に伝播するプロセスを見出す.特に申請者の研究フィールドの高圧を活用し,特異な弾性特性の起源解明からその特性向上まで繋げる.
異種原子がランダムに配列する不規則合金は長距離構造として結晶にみえるが、中距離と短距離構造では特有の秩序構造が存在する。我々は広域X線吸収微細構造(EXAFS)によって元素選択的な短距離構造(<5Å)を検出し逆モンテカルロ(RMC)法で解析した結果、熱膨張ゼロのインバー合金と呼ばれるFe65Ni35不規則合金の最近接原子間距離は一様でなく、強磁性相では磁気体積効果によりFe-Fe対がFe-NiとNi-Ni対より長い原子間距離を持つことを見出した。Fe65Ni35インバー合金からNi組成を僅かに増やすと熱膨張係数が急激に増加し、Niが45%以上で通常金属の熱膨張係数に回復する。しかしFe55Ni45不規則合金は10 GPa近傍で圧力誘起インバー効果が見られる。このため、我々はFe55Ni45不規則合金のEXAFS測定を圧力下で行いRMC法により合金構造を解析した。その結果,最低圧で約0.02 ÅのFe-Feボンド長の伸長をFe55Ni45合金でも確認できた。Fe-Feボンド長の伸長と磁化の圧力変化との対応はFe65Ni35インバー合金よりも明瞭である。磁化が安定な圧力までFe-Feボンドの伸長が維持され、それより高圧側の常磁性転移を経る圧力範囲で磁化の減衰に伴ってFe-Fe対の収縮する振る舞いが観測できた。この合金でも磁気的な不安定領域で圧力誘起インバー効果が起こることからFe-Fe対の伸長/収縮がインバー効果の微視的起源と分かった。さらにfcc構造のFe-Ni合金ではどの組成においても磁気体積効果によるFe-Fe対の伸長が共通して見られる可能性が高い。この結果はFront. Mater. 誌に発表済である。現在この可能性をNi組成がさらに大きくFe-Fe対の密度が低いFe20Ni80合金で検証している。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Frontiers in Materials
Volume: 9 Pages: 954110-954110
10.3389/fmats.2022.954110
Physical Review B
Volume: 103 Issue: 22 Pages: 1-5
10.1103/physrevb.103.l220102
https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/65313