Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究では、異種アニオンの導入に着目し、配位八面体回転の新たな制御手法を確立目指す。層状ペロブスカイトの層間サイトにアニオンが侵入固溶すると、周辺のカチオンが引き寄せられ、局所的に配位八面体の回転が生じる。この超秩序構造の本質を、蛍光X線ホログラフィーや大規模第一原理計算を組み合わせることにより解き明かし、電気的秩序の制御や巨大誘電応答の創出を可能とする、構造歪みに関わる固体化学の新展開を目指す。
結晶構造は物性と深く関連しているため、構造歪みの制御は物性の創出や制御のために不可欠である。ペロブスカイト関連化合物においてよく見られる配位八面体の回転は、許容因子に基づいて、カチオンの置換により制御されることが多いが、アニオンの置換や挿入による制御はほとんど報告されていない。本研究では、Ruddlesden-Popper相NaRTiO4(R: 希土類)に注目する。NaLaTiO4では配位八面体は回転していないが、LaをSmなどの小さな希土類で置換すると、配位八面体が回転した結晶構造が安定となることが報告されている。そこで、異種アニオン導入による配位八面体回転制御の可能性を検討するため、フッ素含有ポリマーを用いた低温トポケミカル反応により、NaRTiO4へフッ素を導入し、その試料の詳細な結晶構造解析を行った。特に、本年度はフッ素導入過程を調べるために、光電子ホログラフィーを行った。反応性固相エピタキシー法により合成したNaRTiO4単結晶薄膜試料およびそれに対してフッ素含有ポリマーを用いてフッ素化したものについて、SPring-8のビームラインBL25SUにおいて光電子ホログラムを測定した。NaRTiO4単結晶薄膜試料の酸素の光電子ホログラムから、バルクとは異なる結晶構造を示すことが明らかになった。密度汎関数理論に基づいた第一原理計算から予測された安定構造とも一致しないことが明らかになった。現在はその光電子ホログラムを説明可能な結晶構造モデルを検討している。フッ素化した薄膜試料の酸素とフッ素の光電子ホログラムから、フッ素が酸素とは異なるサイトに存在することが示唆された。このトポケミカルフッ素化過程についての興味深い知見が得られたと考えられる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021
All Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 3 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 1 results)
Chemistry of Materials
Volume: 34 Issue: 14 Pages: 6492-6504
10.1021/acs.chemmater.2c01245
Inorganic Chemistry
Volume: 61 Issue: 30 Pages: 11746-11756
10.1021/acs.inorgchem.2c01439
Physical Review Letters
Volume: 127 Issue: 21 Pages: 215701-215701
10.1103/physrevlett.127.215701