Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
がん細胞が産生するサイトカイン・ケモカイン・増殖因子は全身を隈なくめぐり、様々な臓器・組織に作用する。本研究で我々は、がん由来の分子が脳と相互作用する「場」として、オリゴデンドロサイトを定義し、その機能デコーディングに取り組み、がんによる認知機能障害が起こるメカニズムを明らかにすることを目指す。また、がん由来分子の解析と認知機能の行動学的解析に、ダブルパッチクランプを用いたオリゴデンドロサイト機能のデコーディングを組み合わせて、脳・身体相互作用の機序にアプローチする。これらから、身体のがんと脳のグリアの連関をターゲットにした新たな研究フィールドを創造する。
がんに伴う認知機能障害 (Cancer-related cognitive impairment, CRCI) に関する基礎研究を推進した。本年度の研究では、メラノーマの細胞株を移植した担がんモデルマウスを作出し、テストバッテリーによる行動学的解析に取り組んだ。担がんマウスでは、、オペラント条件づけに基づく遅延見本合わせ試験における学習機能の低下や、恐怖条件づけ試験における長期記憶の低下、強制水泳試験におけるうつ様の増加、高架式十字迷路試験における不安関連行動の増加、などが認められた。一方で、Y字迷路試験における短期記憶に異常は認められなかった。これらから、担がんモデルマウスがCRCIのモデルとして妥当性を有することが示唆された。次に、抗体アレイを用いて血中サイトカインのスクリーニングを行い、オリゴデンドロサイトとの相互作用が知られているケモカイン (CCL2, CCL8など) の血中濃度が上昇していることを見出した。オプティカルダイセクター法による定量解析の結果、神経血管ユニットとの関連が指摘されているオリゴデンドロサイト前駆細胞とオリゴデンドロサイトの空間分布密度が一部で低下していることが示された。このため、海馬のケモカイン受容体関連遺伝子をRT-qPCRによって解析した結果、Ccr1やCcr2、IL27raなどの発現レベルの上昇が認められた。興味深いことに、コンドロイチン硫酸糖鎖抗原 (Cspg4) の発現レベルは低下していた。また、これらの結果を踏まえ、CCL2に対する中和抗体を投与する実験にも取り組んでいる。これまでに、中和抗体を投与されたマウスでは、認知機能が部分的に改善する可能性があるという予備的なデータを得ている。これらの結果は、CRCIの病態基盤について基礎的な知見を与えるものである。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021 Other
All Journal Article (7 results) (of which Peer Reviewed: 7 results, Open Access: 1 results) Presentation (11 results) Book (2 results) Remarks (2 results)
European Journal of Neuroscience
Volume: 56 Issue: 8 Pages: 5137-5153
10.1111/ejn.15812
Br. J. Pharmacol.
Volume: 179 Issue: 20 Pages: 4857-4877
10.1111/bph.15920
Journal of Nutritional Biochemistry
Volume: 118 Pages: 109093-109093
10.1016/j.jnutbio.2022.109093
Neuropharmacology
Volume: 206 Pages: 108941-108941
10.1016/j.neuropharm.2021.108941
Neuroscience
Volume: 472 Pages: 90-102
10.1016/j.neuroscience.2021.07.031
Volume: 54 Issue: 3 Pages: 4740-4754
10.1111/ejn.15330
Schizophre Res
Volume: - Pages: 80-93
10.1016/j.schres.2020.11.016
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/789/
https://anat.neurosci.kyushu-u.ac.jp/