Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
本研究ではシナプスタンパク質のLLPSを阻害、あるいは促進する化合物やペプチドを探索し、臨界期を誘導する試薬の開発に発展させていく。具体的には(1)CaMKII/グルタミン酸受容体NR2B、betaPIX/GIT1のLLPSを指標にした低分子化合物の大規模スクリーニング、(2)同じく相互作用部位を用いたペプチドの効果を検証、(3)CaMKIIによるLLPSを人為的に制御することでシナプス可塑性が誘導あるいは解除されるか検討する。その成果は記憶学習のメカニズムの解明のみならず臨界期の誘導による神経機能改善や認知障害などの精神疾患治療に向けて大きく貢献することが期待できる。
記憶の基盤であるシナプス可塑性の誘導・発現機構は詳細に検討されているが、刺激後にシナプス強度を維持する仕組みについてはほとんど明らかになっていない。本研究は、記憶の細胞レベルの現象と考えられる長期増強現象(LTP)に伴うシナプスタンパク質のダイナミクスを生物学的液-液相分離(LLPS)で説明することを目指している。本研究ではシナプスタンパク質のLLPSを阻害、あるいは促進する化合物やペプチドを探索し、臨界期を誘導する試薬の開発に発展させていく。具体的には(1)CaMKII/グルタミン酸受容体NR2B、betaPIX/GIT1のLLPSを指標にした低分子化合物の大規模スクリーニング、(2)同じく相互作用部位を用いたペプチドの効果を検証、(3)CaMKIIによるLLPSを人為的に制御することでシナプス可塑性が誘導あるいは解除されるか検討する。計画1の大規模スクリーニングで使用するタンパク質の大量調製法の最適化をおこなった。少なくともCaMKIIとGluN2Bタンパク質に関しては最適条件で調製できる状況である。当初思っていたより多量のタンパク質を使うので、最適条件により大量調製した試料を準備した。計画2では、阻害ペプチドの光活性化実験では、阻害ペプチドの活性化波長を避けたイメージング実験条件が狭く、現実的な画像取得に至らなかった。そのため、光活性化でなく、低分子化合物による操作に切り替え実験系を構築している。また、いくつかのペプチドをインビトロでの相分離で試したが、促進効果を示すものの同定には至っていない。引き続き相互作用部位由来の各種ペプチドを検討して行く。また、細胞内での発現系を用いたシナプスに局在させる方法を見出したので、今後シナプス可塑性に与える阻害構築やペプチドの影響を検討する。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
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生体の科学
Volume: 74(1) Pages: 62-66