Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
視床下部に位置する乳頭体上核は、記憶の中枢として知られる海馬に投射し、その活動を調節する。乳頭体上核は海馬のなかでもCA2野と歯状回に選択的に投射する。最近我々は乳頭体上核と歯状回の出力ニューロンである顆粒細胞で形成されるシナプスにおいてグルタミン酸とGABAが共放出されることを明らかにした。しかし、このような共放出シナプスが発達期にどのようにして形成されるのかよくわかっていない。本研究では、成熟した大人の脳でも新しくニューロンが誕生する歯状回の新生ニューロンに焦点を当て、乳頭体上核―新生ニューロン間シナプスの発達分化のメカニズムと臨界期を明らかにし共放出シナプス形成のメカニズム解明を目指す。
昨年に引き続き、新生顆粒細胞からの記録を行うために、新生顆粒細胞がGFPで標識されたGAD67-GFPトランスジェニックマウスを用いた。このマウスとVGluT2-Creマウスを掛け合わせたマウスの乳頭体上核でアデノ随伴ウィルス(AAV)を使ってチャネルロドプシン-2を発現させた。AAV注射後3週間経過したマウスの急性海馬スライス標本を作製し、顆粒細胞からホールセルパッチクランプ記録を行った。LEDを使った青色光照射によってシナプス電流を記録した。以上の方法でGFPを発現する新生顆粒細胞から興奮性および抑制性シナプス応答を記録した。保持電位を0mV付近にし、抑制性シナプス後電流を調べたところ多数の細胞でGABA応答を示すことがわかった。この電流は興奮性入力を薬理学的にブロックした状態でも発生したので興奮性入力を介したフィードフォワード抑制ではなく、乳頭体上核入力からの直接のシナプス応答であることがわかった。一方で、保持電位を-57 mvにし興奮性シナプス後電流を調べたところほとんどの細胞で反応がないことがわかった。グルタミン酸によるシナプス応答が生じない理由として、プレ側の理由とポスト側の理由が考えられる。今後そのメカニズムを調べる必要がある。また発達に伴ってどの段階で興奮性シナプス後電流が顕著に生じるようになるのか時期を特定する必要がある。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Science Advances
Volume: 9 Issue: 8 Pages: 1-13
10.1126/sciadv.add3616
Cell Reports
Volume: 41 Issue: 13 Pages: 111871-111871
10.1016/j.celrep.2022.111871
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 119 Issue: 13
10.1073/pnas.2119636119
https://www.eurekalert.org/news-releases/977915
https://brainscience.doshisha.ac.jp/news/2023/0106/news-detail-279.html