DNAループ形成動態のモダリティ
Publicly Offered Research
Project Area | Genome modality: understanding physical properties of the genome |
Project/Area Number |
21H05742
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深谷 雄志 東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (00786163)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥13,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000、Indirect Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ゲノム構造 / エンハンサー / インシュレーター / ライブイメージング / ゲノムトポロジー |
Outline of Research at the Start |
近年の1細胞解析により、細胞個々におけるゲノム構造は時間変化に応じてダイナミックに変動しているという新たな実像が浮かび上がってきた。本研究では独自の転写ライブイメージング技術とレポーター遺伝子を用いた再構成的アプローチを駆使することで、ゲノム構造の変化を高時間分解能で検出する新たな実験系を構築し、その制御機構を時間的側面から解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では独自の転写ライブイメージング技術とレポーター遺伝子を用いた再構成的アプローチを駆使することで、ゲノム構造の変化を高時間分解能で検出する新たな実験系を構築し、その制御機構を時間的側面から解明することを目的とする。具体的に初年度は、ショウジョウバエ初期胚を用いて、DNAループ構造が形成されるキネティクスを1細胞リアルタイム計測する新たな実験システムの構築を行った。特にレポーター遺伝子を用いた再構成的アプローチを駆使することで、ゲノム中のインシュレーターと呼ばれる調節エレメントの組み合わせや種類、配列方向性によって、ポリマーとしてのDNAの立体構造がどのように変動するのかという構造的な物性制御メカニズムの解明を目指した。 ショウジョウバエゲノムの構造制御では、CTCFやCohesinだけではなく、Su(Hw)やCP190など多様な因子がインシュレータへの結合を介して機能を発揮している。インシュレーターごとに異なる因子を呼び込むことで、ループ形成の特異性や安定性を緻密に制御していると考えられるが、その実態は明らかとなっていない。本年度は、過去の遺伝学的解析から結合パートナーや生体内機能が明らかとなっている様々なインシュレーター配列をレポーターシステム上に配置し転写バーストを計測することで、ゲノムの構造的変化をシステマテッィクに評価した。その結果、CTCFやCohesin以外にも、ループ形成を介したエンハンサー活性の制御に働く因子を同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、転写バーストを指標にゲノム構造の変化をライブ計測する新規実験系の開発に成功した。本実験系に既知のインシュレーターDNAを挿入し解析を行ったところ、インシュレーターごとにゲノム構造の変化のキネティックや、近傍のエンハンサーの活性に及ぼす影響が大きく異なる様子が観察された。以上の結果は、従来画一的に考えられていたインシュレーターDNAの中にも、機能的な活性が大きく異なるサブグループが存在することを強く示唆している。 実際に個別のインシュレーター結合因子のタンパク質レベルでの解析を行ったところ、過去の遺伝学的解析から同定されてきたインシュレータ結合因子ごとに、ループ形成やエンハンサーの機能調節活性に大きな違いが存在することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム構造の制御に重要な役割を果たすインシュレータ結合因子は、「insulator body」と呼ばれる核内微小環境を形成することが過去の研究により示唆されている。このことから天然変性領域を介した相分離が、ゲノムの構造変化に重要な機能を持つ可能性が考えられる。今後は新たに超解像顕微鏡解析を導入し、insulator bodyの形成と転写バーストの変動を同時可視化することで、核内環境の変化がループ構造形成に果たす役割を明らかにする。ゲノム編集によって内在のinsulator body構成因子を蛍光タンパク質で可視化し、核内における挙動や局在変化を直接可視化する。 さらに、こうしたインシュレータ結合因子の動的な物性変化がどのように、ゲノム構造や遺伝子発現に寄与するのかについて、ゲノム編集による変異体解析やRNA-seqなどの網羅的手法を組み合わせることにより、解析を進めていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)