Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
現状の細胞生物学に立脚したオルガノイド誘導法には、形づくりの進行に追従して、時間とともに幹細胞凝集体の周囲環境が変化するという重要な視点が技術的に欠如している。この周囲環境が変化するという視点に対し、①材料の力学特性、②細胞接着分子の種類、③液性因子の放出挙動などを四次元制御(空間的・時間的)できる材料工学技術を学術的「問い」とした研究が必要である。本研究では、サンドイッチ培養法と光反応を組み合わせたバイオアダプティブ材料を用いた四次元制御の有効性について検討する。得られる研究成果は、細胞生物学のみならず、再生医療・創薬・材料科学、いずれの分野にも類を見ない新たな基盤技術と成り得る。
生物の形態形成では、細胞が集団的かつ精緻に制御されている。その制御機構は、主に、細胞外マトリックスなどの「非細胞素材の加工」や「液性因子の濃度勾配」などに基づいている。一方、現状の細胞生物学に立脚したオルガノイド誘導法には、形づくりの進行に追従して、時間とともに幹細胞凝集体の周囲環境が変化するという重要な視点が技術的に欠如している。近年、これらを人工的に構築する方法として、材料工学的アプローチの有効性が示唆されている。すなわち、この周囲環境が変化するという視点に対し、①材料の力学特性、②細胞接着分子の種類、③液性因子の放出挙動などを四次元制御(空間的・時間的)できる材料工学技術を学術的「問い」とした研究が必要である。本研究では、このような材料工学技術として、サンドイッチ培養法と光反応を組み合わせたバイオアダプティブ材料を用いた四次元制御の有効性について検討する。このため、研究項目①光反応を利用した非細胞素材の四次元制御による加工、研究項目②液性因子の濃度の四次元制御に利用する刺激応答性ハイドロゲル、および研究項目③バイオアダプティブ材料を用いた幹細胞凝集体のサンドイッチ培養について検討する。本年度は、iPS細胞凝集体を異なる力学特性を有するハイドロゲルでサンドイッチ培養することにより、その分化に及ぼす影響について検討した。その結果、貯蔵弾性率約9 kPaのハイドロゲルを用いた場合、より硬いハイドロゲルやより軟らかいハイドロゲルと比較して、有意に心筋細胞への分化が促進されることがわかった。ハイドロゲルの力学特性がiPS細胞の分化誘導を修飾できることを示唆している。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)
Macromolecular Bioscience
Volume: e2300021 Issue: 7 Pages: 1-14
10.1002/mabi.202300021