Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
ショウジョウバエ付節の最終的な「形」は、幼虫期に各分節を形成する細胞が決定された後、蛹期に完成する。蛹期のごく初期にはずんぐりむっくりした形だったものが、非常にダイナミックな細胞動態により、付節の最終的な「形」が完成する。本研究では、上記のそれぞれの過程での構造の詳細や形成メカニズムのクチクラや基底膜との関係を含めた解析や、それぞれの過程の役割の解析により、付節の最終的な「形」が完成するメカニズムを明らかにすることで、生物の「形」ができあがるメカニズムの理解を目指す。
ショウジョウバエ成虫肢のふ節の最終的な形は、蛹期に起こる「パルテノン神殿」様構造と我々が名付けた特殊構造の一過的な形成や「中ぐり」加工による上皮細胞層の薄層化を経てつくられる。「パルテノン神殿」様構造の形成過程をより高い時間解像度で詳細に観察したところ、細胞がプロセスを伸ばし始めて「パルテノン神殿」様構造の“柱”を作り始める際、細胞の基底側のみが移動し、核を含む細胞体そのものの位置は変化しないことがわかった。つまり、「パルテノン神殿」様構造形成過程の初期には、内径のみが細くなり、外形は変化しないことがわかった。また、VikingやTrol、Laminin A、Laminin Bなどの基底膜タンパク質の局在解析から、最初は基底膜がメッシュ構造をしており、それが膜状に変化することもわかった。個々の基底膜タンパク質遺伝子のRNAiでは、しばしば肢そのものが壊れてしまい、形状変化が観察できなかったが、基底膜タンパク質の分解酵素を阻害するTissue inhibitor of metalloproteases(Timp)の強制発現により、「パルテノン神殿」様構造の形成が阻害され、最終的な肢の径が太くなることがわかった。これらのことから、「パルテノン神殿」様構造形成における基底膜のリモデリングの重要性が示唆された。さらに、細胞の頂端側と蛹クチクラが細胞外マトリックス・タンパク質であるDumpy(Dpy)によって繋ぎ止められており、dpy遺伝子をRNAiによってノック・ダウンすると肢の外形が細くなることもわかった。これらのことから、基底膜のリモデリングによる内径の減少とDpyによる頂端側の固定によって、いわば細胞が伸ばされるようにして、「パルテノン神殿」様構造が形成される綱引きモデルの提唱に至った。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results, Invited: 1 results)
iScience
Volume: 26 Issue: 8 Pages: 107279-107279
10.1016/j.isci.2023.107279