Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
我々は、呼吸をして生きている。どんな動きをしても呼吸を維持し続けることができるのは、気管が特殊な組織構造を持つためである。気管は主に軟骨・靭帯・平滑筋・上皮細胞で構成されており、軟骨と靭帯で構成された特異的なパターン構造を持つ。特に、軟骨が馬蹄型を取ることが、気管の管構造維持に必須である。しかし、この軟骨の特殊な形状を生み出すメカニズムは不明である。本研究では、コラーゲン線維の形成タイミングに着目し、申請者が確立した誘導法を用いて輪状靭帯・輪状軟骨外膜のコラーゲン線維による軟骨細胞の動きの制御解析から、輪状軟骨の“形”が作られるメカニズムの解明に挑む。
気管は我々がどんな動きをしても管腔構造が潰れることが無い。この管腔構造維持メカニズムは、肺への唯一の空気の通り道を維持し、生命維持を行う重要なものである。気管の管腔構造を維持するために気管には気管軟骨が一定間隔の“パターン”を持って存在する。しかし、気管軟骨の“パターン”形成メカニズムはおろか“形”を生むメカニズムも、不明な点が多い。そこで、本研究は、気管軟骨の“パターン”と“形”が何によって形成されるのかを明らかにすることを目的とした。令和5年度は、これまでの“形”を生むメカニズムの解析に加え、発生期における気管組織の形態変化に着目し“パターン”が生じるメカニズム解明を試みた。マウスを用いてマウス胎児の気管組織を解析したところ、発生期のとあるステージにだけ上皮細胞層の形態変化が生じることがわかり、この形態変化が一定間隔で軟骨細胞のもとである間充織細胞の凝集を生じさせる要因である可能性があると考えた。そこでまず、この上皮細胞層の形態変化が何によって生じるのか、生化学的解析と力学モデルを用いたシミュレーションを組み合わせることで解析を進めた。結果、上皮細胞と間充織細胞の増殖の差や、気管長の差、各細胞層の厚みや硬さの差により、上皮細胞層に形態変化が生じる可能性を示唆するシミュレーション結果を得ることが出来た。また、上皮細胞層の形態変化を模したデバイスを用いて、マウスES細胞の分化誘導を行った。結果、軟骨細胞のマーカー遺伝子であるSox9陽性の気管間充織細胞が一定間隔のパターンを持って凝集を生じることが明らかとなった。本研究の結果から、気管軟骨の“パターン”は上皮細胞層の形態変化が起点となり生じる可能性を示唆することが出来た。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
All Presentation (5 results) (of which Invited: 3 results)