Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
内分泌器官や消化管、血管などの内腔を持つ器官は個体の生命維持に必須の機能を果たす。発生生物学分野では、ホルモンや血液などの内腔内容物と内腔周囲の上皮細胞の相互作用が、これらの器官の形態形成に重要であることが示唆されている。本研究では未だ形成過程が不明な甲状腺の形態形成に着目し、甲状腺濾胞の内腔に満たされるコロイドと濾胞細胞の相互作用が濾胞の形態形成に与える影響を明らかにする。本研究の成果は甲状腺の形成制御機構の解明に加え、ヒトの甲状腺疾患で見られる異常なコロイド像の生物学的意義の解明にもつながる可能性がある。
本研究では甲状腺の形態形成を制御する分子機構の解明を目的とした。甲状腺は多数の濾胞からなる内分泌器官であるが、その形態の成り立ちはよくわかっていない。本研究では特に、球体組織である甲状腺濾胞の内腔を満たすコロイドと、その周囲細胞との相互作用に着目した。濾胞の内腔が拡大する過程や濾胞細胞の動態の可視化が可能なアフリカツメガエル幼生をモデルとして用い、甲状腺組織の立体画像解析およびライブイメージングを行った。前年度までに内腔が拡大する際に細胞極性マーカーでもある細胞接着分子の発現量が柔軟に変化する可能性が見出されていたが、新たに細胞接着分子の発現量の減少が内腔拡大に必要であることがわかった。また、細胞外マトリックス(Extracellular matrix: ECM)の発現量が内腔の拡大に伴って変化し、それが細胞接着分子の発現または局在制御に関与することもわかった。さらに、甲状腺の組織培養によりライブイメージングを試みたところ、濾胞の形成初期には内腔が活発に動いている様子が捉えられ、今後、細胞接着やECMの発現制御が関係するか検証する必要がある。一方で、濾胞の数や甲状腺の形態には個体差があり、初期発生のように時空間的に正確にプログラムされた遺伝子発現制御によって均一な形態が作られる過程とは異なる可能性も見えてきている。本研究により、甲状腺濾胞の内腔コロイドの動態と活発な細胞運動が明らかになりつつあり、その基盤となる分子機構を解明するための基礎データが得られた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021 Other
All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (10 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results, Invited: 10 results) Remarks (1 results)
Current Biology
Volume: 32 Issue: 7 Pages: 1485-1496
10.1016/j.cub.2022.01.075
https://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/bunya_top/morphogenesis/