Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
多数の繊維により3次元的な「からだ」を建築する場合、繊維構造を「からだ」の表面全体に張り巡らし三次元的な構造の支えとする必要がある。この際、必ず極となるトポロジカル欠陥(地球の例では南極や北極)が存在してしまう。この様な極に応力の集中が起きることで変形が誘起され、それが三次元的な「からだ」作りの駆動力になりうるのではないか。このコンセプトを理論的に解明するために、ヒドラ切片の再生過程等を題材とし、フェイズフィールド法を用いた3D組織のモデリングと、組織表面上のネマチック液晶の連続体方程式を組み合わせ、線からなる3D形態の建築原理に迫る。
繊維を張り合わせて三次元的な構造を構築する際に、トポロジカル欠陥と呼ばれる繊維の方向を定義できない特異点がどのような役割を果たすかを理論的に考察するため以下のような研究をおこなった。まず、液晶の理論と微分幾何学を応用し、曲面上の繊維の向きを記述する理論的枠組みの構築をおこなった。このモデルにおいて、曲面の曲率に応じてトポロジカル欠陥が形成または移動する様子が確認できた。さらに変形する曲面の上でのトポロジカル欠陥が形成、移動や、トポロジカル欠陥に応力集中が起き、結果曲面が座屈する様子のシミュレーションも行った。また、三次元構造を平面に折れ畳んだ際に、どのような皺が入るのかを記述するシミュレーションの開発などもおこなった。例えばカブトムシのツノは蛹の段階では二次元的に折れ畳まれていて、羽化するとその皺が伸びることでツノが形成される。角のような三次元構造をどのように折れたたむことができるのかが理解できれば、任意の三次元構造を皺のある二次元平面で表現・構築することが可能になり、工学応用などにつながる可能性がある。この研究は井上研究室との共同研究である。また、変形する細胞をシミュレーションする手法を開発した。この手法では従来手法(フェイズフィールド法)に比べ10~100倍の速度でシミュレーションできるため、10000細胞のシミュレーションも容易である。このモデルを用い、密な組織の挙動を調べたところ、トポロジカル欠陥によって現れる新規の集団挙動を発見した。この研究を論文化し現在投稿中である(プレプリント Saito & Ishihara 2023)。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (6 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 2 results)
Nature Communications
Volume: 14 Issue: 1 Pages: 1-16
10.1038/s41467-023-37350-x