Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
外界の知覚により引き起こされる快・不快の情動は、中枢神経の各脳領域の変化に加え胸・腹部臓器の変化を引き起こし、その結果内臓感覚いわゆる内受容感覚の変化が生じる。本研究は、内受容感覚により引き起こされる中枢神経系の情動関連領域の変化を、内臓感覚の入力経路である迷走神経求心性線維の刺激により人工的に生成し、情動関連領域の神経活動の変化、そしてそれに伴う情動的知覚、認知行動の変容を解析する。身体内部からの感覚入力が情動を制御する神経回路の機能を明らかにする。
外界の知覚により引き起こされる快・不快の我々の感じる情動は、環境に対する知覚・認識によって生じる。しかしそれに加え、情動には身体内部の感覚、いわゆる内受容感覚の変化を伴う。本研究は、内受容感覚により引き起こされる中枢神経系における変化、それによる質感・認知行動の変容を、マカクサルを用いて明らかにする。本研究では、これまで脳幹領域において情動、認知表現を探索し、橋背側部に位置する結合腕傍核において、顕著な情動表現を示す神経細胞群を見出した。令和4年度では、結合腕傍核における神経活動記録をさらに進め、複数の記録部位において、心血管系からの入力を示唆する心拍と同期した神経活動を計測した。また、結合腕傍核における情動表現が心拍との同期性の影響を受けることを明らかにし、情動情報と身体内部の感覚入力の収束が示唆された。さらに腕傍核において表現される情動情報と認知との関りを明らかにするため、腕傍核神経細胞の情動表現を認知的関与の異なる条件間で比較したところ、認知的関与の低い条件下で活動を上昇させる神経細胞が多数見出された。こうした情動表現を持つ腕傍核の神経細胞が身体の内部感覚入力を受け取るかどうかをより直接的に検証するため、一頭のサルに対し迷走神経刺激電極の設置手術を行った。今後迷走神経刺激によって順行性に生じる活動電位を計測することにより、内臓感覚の伝達経路上にある神経細胞を結合腕傍核において同定し、その情動表現を解析する。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022
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精神科
Volume: 41 Pages: 500-507