Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
視覚障害者への情報補償方法の発展・普及の必要性が増しており,様々な感覚代行手法が開発されてきた.だが,視覚障害者は独特の感覚・知覚・認識系を持つため,晴眼者への提示手法がそのまま使えるとは限らない.一方で,視覚障害者の独自の質感知覚に関しては未だ不明点がある他,晴眼者の質感知覚との共通性についても未解明な点が多い.この点が解明されれば,視覚障害者における多彩な質感を提示できる手法の開発だけでなく,その手法を用いた晴眼者との感覚体験の共有ができると考えられる.そこで本研究の目的を,視覚障害者・晴眼者が同様の質感体験を共有するためのインクルーシブな質感提示法を解明することとする.
本年度の成果は以下のように要約できる.1)視覚障害者への空間印象の知覚方略に関する解明:特に全盲者において,聴覚情報を能動的に取得する場合における空間知覚能力に関して実験的に探った結果を分析した.まず,それ自体が音を発しない障害物を,環境音の変化によって知覚する「障害物知覚」において,頭部回転や両耳聴の寄与を明らかにした.特に,両耳聴・片耳聴,頭部回転の有無の条件下で,幅と距離を変えた障害物の存在・距離の知覚に関して分析した.この結果,頭部回転と両耳聴により,障害物の存在感定位や知覚距離がより正確になる点が示された.逆に,頭部回転や両耳聴を行えない場合,危険回避のために障害物がない場合であっても,あると回答するようにバイアスが発生する可能性がある点も明らかになった.次に,この原因たりえる音響要因の探索に関連して,移動などの際の無意識的な動きに伴って起こる障害物と環境音の干渉音のうち,知覚しやすい要因について調べた.特に,歩行時には頭の揺動が起こるために両耳間差が起こり得る点を示した上,この際に発生する両耳間の時間差・レベル差・音色差のうち,知覚しやすいものを分析した.この場合の音色は,環境音と障害物からの反射音がぶつかって起こるカラーレーションという現象に伴って発生するものとした.結果より,音色差,レベル差は,時間差よりも頭の動きが小さくても知覚しやすい要因である点が示された.2)視覚障害者が画像情報を直感的に理解するための可聴化・可触化法の構築とその学習方略の検討:学習を促進する要素としてゲームに着目し,聞いて・触って楽しめる落ち物パズルゲームを構築の上,全盲・弱視者で評価した.この結果,落ちものパズルに経験がない者も楽しみつつ継続的に触覚情報を介して本パズルへの習熟が出来た他,失明以前に類似のパズルゲームを経験した者における触覚活用を促すことに繋げることが出来た.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2024 2023 2022
All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results, Open Access: 3 results) Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 3 results)
Life 2024
Volume: 14(3) Issue: 3 Pages: 356-356
10.3390/life14030356
International Journal of Environmental Research and Public Health
Volume: 20(8) Issue: 8 Pages: 5573-5573
10.3390/ijerph20085573
PSYCHOLOGIA
Volume: 65 Issue: 1 Pages: 70-99
10.2117/psysoc.2022-B031
2022 IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics (SMC)
Volume: 2022 Pages: 1540-1545
10.1109/smc53654.2022.9945294