工学システム解析に現れるシンボリック行列に対する離散構造論の展開
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and Organization of Innovative Algorithmic Foundations for Leading Social Innovations |
Project/Area Number |
21H05846
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (IV)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷川 眞一 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (30623540)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | シンボリック行列 / マトロイド / 劣モジュラ関数 / テンソル補完 |
Outline of Research at the Start |
要素に不定元を含む行列(シンボリック行列) の正則性判定問題に対する決定性多項式時間アルゴリズムの開発は、理論計算機科学における重要な未解決問題である。本研究では特に、工学システムの構造解析に現れるシンボリック行列に的を絞り、マトロイドや劣モジュラ関数などの離散構造に基づく解析手法を提案する。 さらに計算量理論の枠組みから、工学システムに潜む離散構造を統一的に理解するための離散構造論の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ジェネリックなシステムに対し、劣モジュラ関数やマトロイド理論を利用した組合せ的解析の研究が古くからなされている。しかしながら各応用問題に内存する疎性構造がシステムの解構造に与える影響は十分に理解できておらず、各問題固有の疎性構造を取り扱うための統一的な解析方法が求められている。本研究では、工学システム解析に現れるジェネリックな線形システムを表現するシンボリック行列に焦点を絞り、その組合せ的解析方法の確立を目指す。本年度は、基盤となる離散構造の構築と具体例の解析を行なった。 離散構造基盤の構築では,2019年度に提案した狭義H列集合関数の劣モジュラ性の理解に向け、幾つかのグラフHで具体的な計算を行なった。特にHが完全二部グラフの場合において、ジェネリックな点集合上で各2点を結ぶ直線のPlucker座標から定るマトロイドとの関係を明らかにした。 また工学システム解析に現れるシンボリック行列の具体例として、テンソル補完問題の唯一性解析に現れる行列を解析した。対称テンソル、長方形テンソル、歪対称テンソルの3つの設定を考え、ハイパーグラフ上のマトロイドを考察した。これらのマトロイドと、代数幾何学の古典的話題であるVeronese多様体、Segre多様体、Grassmann多様体のセカント多様体の次元解析との関係を明らかにし、セカント多様体の射影の次元と組合せ的疎性マトロイドとの関係を明らかにした。またグラフ剛性の技法を利用することで、代数幾何の文脈で知られていたGrassmann多様体のセカントの次元解析を、ハイパーグラフ上のマトロイドのランク解析に拡張した。またランダムグラフの剛性解析手法を転用することで、ランダムハイパーグラフのランクの解析を行なった。そこからランダムサンプリングによって、テンソル補完が唯一に定まるための十分条件を導出し、既存成果のサンプリング率の改良を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始が10月であったため、成果の多くは論文投稿準備中の段階ではあるが、当初の計画通り順調な進展が得られていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
狭義H列集合関数の解析において、グラフHのサイズが小さい場合は、予想されるマトロイドのサーキットを手計算で列挙することが可能である。しかし、より複雑なグラフHに対しては、計算機の利用が必要である。Hが固定された状況で、狭義H列集合関数から得られるマトロイドのサーキットの列挙を行うアルゴリズムの開発が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)