Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
超新星、特にIa型超新星母銀河は宇宙論の謎、特にダークエネルギーの謎の解明のためのキーとなっている。Ia型超新星には明るさのばらつきがあり、ダークエネルギー研究の上で観測的に問題になっている。そこでIa型超新星の明るさと出現環境を調べることが本研究のテーマである。我々は近傍銀河おいて空間的に十分分解をした星生成史の環境研究を行うと共に国際共同研究で遠方超新星の母銀河の性質を調べた。前者について星生成史を調べるための観測として、当初は15バンドの可視同時撮像観測を行うように計画をしていた。ところが、星の進化モデルに基づくより詳細な検討を行った結果、350nm-400nmの可視Uバンドの観測が大変重要で、400nmよりも長い波長域で多数のバンドの観測を行うよりも効果が高い可能性があることが判明した。そこで、ハワイ大学の2.2M望遠鏡による近傍銀河のUバンドを含む多色観測を行って制限を与えることを中心にきりかえた。また別途開発中であった広帯域の小型カメラによる観測で塵による減光量に制限を与えることとした。このための2.2m望遠鏡の観測は大学院生と代表者で行い、Uバンド以外の銀河観測は比較的順調に観測できたが、Uバンドでの効率が公開されていた情報と異なり感度が桁で低いことが判明した。原因についてはハワイ大学側で調査中であるが、いずれにしても、残念ながら当初目標としていた深いUバンドのデータの取得をするには至らなかった。そこで再度Uバンドの観測を計画すると共に、現在GALEXの紫外線の公開データを使うことで当初の目的を達成できるように研究を進めている。一方近傍銀河撮像用カメラについてはデュワーがほぼ完成した。近傍銀河についてはUバンドの観測の予想外の問題で1年以上遅れたが、当初の目的は達成できると見込んでいる。遠方超新星については宇宙論の論文1編、Ia型超新星の出現率の論文2編を出版、またIa型超新星の母銀河の形態についての論文を投稿中(Mayer,J.他)である。また、もともとの研究の大きな動機となっているダークエネルギーについての一般向けの解説書を名古屋大学の松原准教授と2人で執筆、出版した。
3: Progress in research has been slightly delayed.
ハワイ大学の望遠鏡によるUバンドの観測が、観測装置の不具合で不成功に終わったため、24年度に再度観測を他の望遠鏡で計画すると共に衛星望遠鏡の公開データをもとに研究を進めている。紫外線を使ったときの減光を、可視狭帯域観測や遠中間赤外線で推定して補正するなどの、詳細な検討は進んでおり、1年遅れで成果が達成できる見込みである。一方、遠方のIa型超新星については、昨年までに行っていた国際共同研究で論文にまとめ、出版または投稿中である。
観測装置の不具合でデータが部分的にしか取得できず、目標の達成が遅れた。観測装置は5年以上公開されていた装置だが、Uバンドについてはほとんど使用実績がなかったことを事前に把握できなかったことが反省点される。不足データについては上記の通り、追加観測あるいは公開データの利用で解決をしていく予定である。一方で、狭帯域撮像カメラの開発が別途進んでおり、そちらの観測とあわせて当初の目標は、むしろより確実な方法で達成できる見込みである。本計画の目標は代表者が進めている別のプロジェクト(重力崩壊型超新星の環境研究)に本研究を融合させて、成果を出していく予定である。
All 2012 2011 2010
All Journal Article (6 results) (of which Peer Reviewed: 6 results) Presentation (2 results) Book (1 results)
The Astrophysical Journal
Volume: 745 Issue: 1 Pages: 20-31
10.1088/0004-637x/745/1/31
Volume: 745 Issue: 1 Pages: 32-60
10.1088/0004-637x/745/1/32
Volume: 746 Issue: 1 Pages: 85-109
10.1088/0004-637x/746/1/85
The Astronomical Journal
Volume: Vol.139, Issue 4 Pages: 1628-1648
Volume: Vol.716, Issue 1 Pages: 712-738
Volume: Vol.716, Issue 1 Pages: 1-29