Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
遠方の銀河が、近傍の大規模構造の重力ポテンシャルによって変形を受ける宇宙論的「弱重力レンズ効果」は、直接暗黒物質・宇宙背景ニュートリノ分布のプローブになるだけでなく、その幾何学的な効果から暗黒エネルギーの影響も測ることが可能であり、非常に重要な効果である。本研究は、この弱重力レンズ効果の観測と理論を比較するための尤度関数を金融工学で使われている、コプラと呼ばれる関数を用いて精密化することにより、新しい尤度関数を提案し、弱重力レンズのデータからこれまで以上に信頼できる宇宙論パラメタの推定を可能とすることが目的である。初年度(昨年度)で期待以上の進展があり、交付申請書に記載した目的・実施計画のおおよそを達成したため、今年度は発展研究として、宇宙背景ニュートリノの弱重力レンズ効果への影響を明らかにすることを目指して研究を進めた。弱重力レンズ効果に対する重力の非線形効果を調べるため、ニュートリノの有限質量の効果を取り込んだ球対称崩壊モデルを新しく構築し、その発展を追う数値計算コードを開発した。具体的には、方程式系を波数空間と実空間に分割して解くことによってこれを可能とした。その結果、ニュートリノ質量が0.05eVと0.1eVであった場合には、太陽の10の15乗倍の質量をもつ天体の数がそれぞれ25%、50%ほど減少することが明らかになった。この成果は査読付学術論文(Physical Review D誌)に掲載された。今後はニュートリノ質量の2点相関関数への非線形効果を考察し、本研究課題の成果であるコブラ尤度関数をニュートリノ質量の効果を取り込んで精密化し、宇宙論からのニュートリノ質量への制限に応用したい。
All 2012 2011 2010
All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 5 results) Presentation (4 results)
Physical Review D
Volume: 85 Issue: 6
10.1103/physrevd.85.063521
Volume: 85
Volume: 85-4 Issue: 4 Pages: 43518-43518
10.1103/physrevd.85.043518
Volume: 83
Physical Review Letters
Volume: 105