Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
スピンアイスにおける素励起が、磁気モノポールに類似した現象(専門用語では、3次元系におけるfractionalize可能なソリトン型励起)として理解可能であろうという理論的な考え方が注目されている。このモノポール励起は、新しい集団励起現象であり、また観測し難いこともあって、新しいアイデアに基づく実験が可能と考えられる。研究計画のひとつは、カゴメアイスDy2Ti207[111]磁場下での気液相転移の臨界点(Tc=0.36K,Hc=0.93T)近傍において多数生成されていると考えられている磁気モノポールを、AC磁場を用いて動かすことにより、AC磁化率として観測することであった。この実験は、大震災後の自主節電のためスタートが半年遅れてしまったが、2012年3月に行った実験では、予想に沿った形の非常に興味深い実験データが得られた。現在進行中の解析等も含めて論文にまとめる予定である。いくつか計画した中性子散乱実験は、原研(東海村)の研究用原子炉が地震のダメージ等により、現在も稼働できない状況であるため、実験できない状況になってしまっている。早期の再稼働を期待したい。この中性子散乱実験の代わりに、Tb2Ti2O7の研究に乗り出した。この系は、量子スピンアイス状態ではなかろうか?と推測されている系である。量子効果が働くスピンアイスでは、磁気モノポールが、Dy2Ti2O7のような古典的系に比較して良く動くことが期待できることが、この研究の基本的なアイデアである。Tb2Ti2O7の基底状態の実験研究は、再現性が得られないため難問と考えられていたが、Tb2+xTi2-xO7+yのxを微小量コントロールすることにより、スピン液体状態と長距離秩序状態の間をtuning可能であることが分かった。tuning可能であれば、今後大きな発展が期待できる。
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J.Phys. : Condens.Matter
Volume: 24 Issue: 5 Pages: 052201-052201
10.1088/0953-8984/24/5/052201
J.Phys.Soc.Jpn.
Volume: 81 Issue: 1 Pages: 015001-015001
10.1143/jpsj.81.015001
Solid State Commun.
Volume: 152 Issue: 12 Pages: 1047-1051
10.1016/j.ssc.2012.03.022
http://bb.phys.se.tmu.ac.jp/~bb/pukiwiki/index.php?NewsLett