Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
A2V13022における三量体形成と不純物効果A2V13022(A=Ba,Sr)は、Vが規則的に欠損した擬V三角格子が3層、fcc格子的に積層した構造をとり、Baでは290K、Srでは380Kで三量体相転移を起こす。このV3+(3d^2)サイトに非磁性不純物Sc、磁性不純物Cr(3d^3)を導入した試料を作製した結果、不純物ドーピングによって、三量体相転移に伴う電気抵抗の増大、帯磁率の減少が消失することを昨年度に見出した。さらに、本年度は結晶構造の変化について調べ、歪測定における相転移での異常が不純物ドーピングによって消失すること、また電子線回折実験の結果から、三量体相転移によって起こるCmce=>Pbcaの構造相転移が不純物ドーピングによって消失することを見いだした。これらの結果から、不純物ドーピングによってスピンシングレット三量体が崩壊し、スピンが現れるという振舞いが明確になった。Ba2Ti13022単結晶の物性Ba2Ti13022は、上記のA2V13022と同じ結晶構造をとるが、V3+(3d^2)ではなくTi3+(3d'1)によって構成されている。この物質の単結晶をFZ法によって作製し、210Kで電気抵抗の増大と帯磁率の減少が起こることを昨年度見出した。今年度はこの210Kの相転移についてより詳しく実験を行い、電子線回折実験の結果からCmce=>C2/mの構造相転移が起こっていること、またこれはある3層と隣の3層が非等価になる相転移に対応していることを見いだした。さらに歪測定とx線粉末回折実験の結果から、この相転移でa軸が縮み、b軸が延びることを見いだした。また光学測定の結果、0.1eV以下でギャップが開く様子を明らかにした。以上のことから、この物質の210Kでの相転移は電荷密度波に近いことが明らかになった。
All 2012 2011 2010
All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 5 results) Presentation (2 results)
Physical Review B
Volume: 85 Issue: 8 Pages: 0851061-4
10.1103/physrevb.85.085106
Phys.Rev.B
Volume: 84 Issue: 6
10.1103/physrevb.84.064421
Volume: 83
Volume: 82
Phys.Rev.Lett.
Volume: 104