Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
発生過程において、「増殖相」から「分化相」への移行に伴い細胞周期関連分子の活性や発現は抑制されなければならないと信じられてきた。しかし、特殊なサイクリン依存性キナーゼであるCdk5は発生期および神経変性疾患の脳で強く活性化していることから、分化相においても細胞周期関連分子が機能していることが示唆されるが、このような視点からの研究はまだ緒についたばかりであり、細胞周期関連分子が大脳皮質形成や脳疾患に果たす役割についてもほとんど解析されていない。本研究では、Cdk5を中心とした細胞周期関連分子の機能を、生理的状態と神経変性疾患の両面から解析を行い、正常状態の何がどのように変化することにより病的状態へと移行するのかを調べ、大脳皮質形成およびその異常による脳疾患のメカニズムを明らかにすることを目的として研究を行ってきた。昨年度までの研究より、哺乳類の大脳皮質6層構造の形成に必須である多段階の神経細胞移動のうち、その大半を占める「ロコモーション様式の移動」にCdk5が必要であることを明らかにした。そこで今年度は、正常脳から病態脳への移行にCdk5がどのような役割を果たしているのかに焦点を当てて解析を行った。我々は、発生期の大脳皮質において、Cdk5が細胞周期からの脱出に必要であるp27(kip1)をリン酸化することを報告しているが、病態脳型のCdk5/p25は、p27(kip1)に対して異なるリン酸化特性を持つことを明らかにした。これらの結果より、Cdk5が正常脳型から病態脳型へと変換することによりp27(kip1)へのリン酸化部位特異性が変わることが、神経変性疾患の進行に何らかの役割を果たす可能性が示唆された。
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10029068523
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http://web.sc.itc.keio.ac.jp/anatomy/nakajima/page10/page17/page17.html