Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
遺伝情報を記録したクロマチンDNA繊維は、分裂期になると太くて短い分裂期染色体へとその形態が大きく変化する。染色体凝縮と呼ばれるこの過程は、複製された遺伝情報を正確に次世代の細胞に継承するために必要だが、そのメカニズムや凝縮した染色体の構造について不明の点が多い。真核生物で広く保存される蛋白質複合体のコンデンシンは、直接DNAに作用して染色体凝縮に役割を果たすと考えられている。モデル生物の出芽酵母で、コンデンシンは染色体上の(1)セントロメア、(2)腕部上では主にtRNA遺伝子部位、そして(3)リボソームRNA(rDNA)遺伝子繰り返し領域内にあるRFBに結合することがわかっている。今年度、まずコンデンシンの結合をクロマチン免疫沈降法により、上記3種の結合を比較した。その結果、RFB(1コピー)への結合シグナルが最も強く、次にセントロメアへの結合シグナルがその約1/2、腕部上に散在するtRNAには極めて僅かな結合しかないことが判った。すなわち、RFBは最もコンデンシンが結合しやすい配列であることがわかった。次に、コンデンシンによる染色体凝縮のメカニズムを調べる目的で、染色体上のrDNA領域を完全に欠失した細胞(RFB配列を持たない)を用い、6番染色体腕部上に2つあるいは3つのRFBを約15kb間隔で挿入した。この細胞を使い、RFBへのコンデンシン結合に依って分裂期細胞では、腕部上に並んだRFB同士が相互作用することが、Chromosome Conformation Capture(3C)法によりわかった。この結果から、コンデンシンがDNAに結合することで、その結合部位同士が相互作用し、結果としてそれらの間のクロマチンが折りたたまれる事になる。これが染色体凝縮の素反応の1つであると考えられた。
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http://www.nibb.ac.jp/sections/evolutionary_biology_and_biodiversity/diversity/AssisProf/johzuka.html