Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
蛋白質は、アミロイド線維に代表される異常凝集体を形成して蛋白質社会の秩序を破綻させる。蛋白質社会を理解するには、「アミロイド線維の構造や形成機構をリアルタイムと原子レベルの分解能で解析し、線維形成の分子基盤を解明すること」が必要である。「超音波照射」、「重水素交換-NMR解析」、「全反射蛍光顕微鏡を用いた一線維・リアルタイム解析」などと組み合せることにより、アミロイド線維の構造と構造物性、形成機構を研究した。(1)NMRによる構造解析:超音波処理を利用によって分子量200万の微細均質アミロイド線維を作製する方法を開発した。特にβ2ミクログロブリンのアミロイド線維に適用して、アミロイド線維の構造と揺らぎの解析をおこなった。その結果、N末端領域が壊れた構造をとっていることを明らかにした。更に、重水素交換-溶液NMR解析によって、β2ミクログロブリンの線維形成中間体の解析を進めた。溶液状態では比較的コンパクトな前駆体が、より広がった変性構造を形成することによって、アミロイド線維の側面に結合することを示した。(2)全反射蛍光顕微鏡を用いて、アミロイド線維の形成反応や伝播現象を、一線維レベル、リアルタイムで解析した。Islet Amyloid Polypeptideにおいて、アミロイド線維形成と不定形凝集の関係を明らかにした。また、2種類の蛍光試薬を用いることによって、アミロイド蛋白質が、既存のアミロイド線維の側面に結合した中間体を検出できることを示した。(3)マイクロプレートリーダと超音波処理と組み合わせたアミロイドアッセイ法を開発して、さまざまな蛋白質やペプチドのアミロイド形成反応を解析した。アミロイドは、過飽和条件下で比較的短いペプチドや蛋白質が析出することによって形成する固体構造であること、過飽和が全体の反応を支配する重要な因子であることを見出した。
1: Research has progressed more than it was originally planned.
蛋白質異常凝集体は、蛋白質社会の秩序を破たんさせる。タミロイド線維を中心とする蛋白質異常凝集体の形成機構を解析して、「溶解度」と「過飽和」が異常凝集を理解する新たな概念であることを提唱した。さらに関連する研究分野を発展させるための基盤を構築した。
本研究をより発展させるために新学術領域研究「蛋白質異常凝集の原理と制御」(領域代表者、後藤祐児)を申請し、研究の更なる発展と推進を図っている。
All 2011 2010 Other
All Journal Article (6 results) (of which Peer Reviewed: 6 results) Presentation (5 results) Remarks (2 results)
J.Mol.Biol.
Volume: 412(4) Issue: 4 Pages: 568-577
10.1016/j.jmb.2011.07.069
J.Biol.Chem.
Volume: 286(12) Issue: 12 Pages: 10856-10863
10.1074/jbc.m111.222901
120006557644
Volume: 286(27) Issue: 27 Pages: 23959-23966
10.1074/jbc.m111.226688
120006557643
Volume: 285(25) Pages: 19660-19667
Volume: 400(5) Pages: 1057-1066
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http://www.protein.osaka-u.ac.jp/physical/yoeki.html