Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
積荷輸送体の超分子形成と糖タンパク質の秩序制御の連関の解明積荷輸送体の超分子形成メカニズムを解明するために、酵母のERGIC-53ホモログにあたるEmp46pとEmp47pのヘテロ多量体を研究対象とした。Emp46pおよびEmp47pのレクチン様ドメインと膜貫通領域の間に位置するコイルドコイル領域に着目し、超遠心解析等の手法を用いて溶液pHに依存した分子集合の様式を解析した。これにより、Emp46p/47pのコイルドコイル部位にはpHを感知する部位が備わっていることが示され、pH変化に応じてヘテロ多量体からホモ多量体へと変化する仕組みを明らかとすることができた。ERADマシーナリーにおける標的糖タンパク質捕捉ユニットの分子間相互作用解析ミスフォールド状態にある糖タンパク質は小胞体から細胞質へと逆行輸送されたのち、ユビキチンプロテアソームシステムによって分解される。糖タンパク質のERADに関わるタンパク質は、相互作用することにより超分子複合体を形成し、システムとしての作動効率を高めていると考えられる。ERADマシーナリーの構成因子の一つであるpeptide:N-glycanase(PNGase)は、プロテアソームによる分解に際して立体障害をもたらす糖鎖を、タンパク質から切除する酵素である。PNGaseは活性ドメインのN末端側にPUBドメインを有しているが、本ドメインがERADにおいていかなる役割を果たしているのか、その実体は不明であった。MRおよびフロンタルアフィニティークロマトグラフィー法を用いた相互作用解析の結果、PUBはHR23のUBLに対して特異的に結合することが明らかとなった。HR23はユビキチン鎖およびUBLと結合することができるUBAドメインを有しており、このドメインはUBLと分子内で相互作用している。このことから、PNGase-PUBがHR23のUBLを捕捉することにより、HR23のUBAがERAD基質のポリユビキチン鎖と結合することが可能な活性型へ変換されるものと考察される。
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