Publicly Offered Research
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
本研究は、電子EDM探索のため、LiSr分子装置を立ち上げることを目的としている。Li原子の実験装置は全く無かったことから、初年度はLi原子のレーザー冷却のために、波長671nmの外部共振器型半導体レーザーとテーパーアンプを作製し500mWの出力を得た。今年度はこの光源の周波数安定化のために、ヒートパイプを立ち上げて偏光分光法により6Li原子の吸収線の微分信号を得て光源にフィードバックすることで、光源の周波数安定化を行う。Li原子がヒートパイブ窓と反応してしまうのを防ぐため、アルゴンガスを封入したところ、偏光分光信号が5倍以上に大きくなることを発見した。このメカニズムを解明するためレート方程式による計算を行い、磁気サブレベルと超微細構造間のオプティカルポンピングやvelocity changing collisionなどを考慮することで、実験結果を定量的に説明することができた。そして、この偏光分光信号を用いて671nm光源の周波数安定化に成功した。LiとSr原子の同時MOTを実現するため、真空装置の改造を行った。LiとSr原子は蒸気圧の大きさが近いことから、同じオーブンに封入し400℃で両方の原子の原子ビームを得た。共通のゼーマンコイルを用いてゼーマン減速を行った。そして6方向からLi用の波長671nmとSr用の461nmのレーザー光を減速された原子ビームに照射し、四重極磁場を印加した。これにより世界で初めて、LiとSr原子の同時MOTに成功した。以上により、Li原子のレーザー冷却実験装置を立ち上げ、LiとSrの同時MOTに成功した。今後は、これらの冷却原子を光トラップに以降することで、蒸発冷却を行い量子縮退と分子生成を目指すことができる。
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
量子縮退や分子生成にはまだ至らないが、LiとSrの同時MOTに成功したことはとても重要であり、次の段階の実験に進むことができる。
今後は、LiとSr原子を光トラップへ移行する。光トラップ中で蒸発冷却・協同冷却を行うことで、量子縮退達成を目指す。光トラップ中でLi原子に、磁場によるフェッシュバッハ共鳴を用いて弾性衝突レートを高め、効率的に蒸発冷却を行う。このときLiとSr原子の弾性衝突を利用して協同冷却を行う。
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arXiv
Volume: 1201
Proceedings of 5th International Workshop on Fundamental Physics Using Atoms 2011
Volume: 5 Pages: 121-123
http://dbs.c.u-tokyo.ac.jp/~torii/